週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

巣鴨「栗ぜんざい」のあんこ力

 

東京・巣鴨あんこのメッカの一つ。

 

元祖塩大福「みずの」やあんぱんの名店「喜福堂」はじめいい店がとても多い。

 

ひと昔前は「おばあちゃんの原宿」などと呼ばれたが、今ではシャレた店が軒を連ね、個人的には原宿の方を「若者の巣鴨と呼びたい気分(笑)。

 

コロナで行けなかった分、久しぶりに師走の巣鴨へ。

 

「喜福堂」であんぱんを数種類買い込み、北口ロータリー前の老舗和菓子屋「福島家」で一休みすることにした。喫茶室もある。

 

狙いはここの栗ぜんざい。自家製あんこの美味さには定評がある。

 

この季節のぜんざい類は3種類。栗ぜんざい、しるこ、ぜんざい、白玉しるこだが、ここは何といってもこの季節限定の「栗ぜんざい」(税込み830円)にかぎる。

 

寒さで冷えた体を芯から温めてくれる。

 

それがこれ。

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冬のあんこの神さまだよ。

 

漆塗りのお椀の蓋を取ると、小豆のいい匂いがぼわわんと来た。

 

【本日のセンター】

しゅまり小豆の絶妙「栗ぜんざい」

 

いい小倉色のぜんざいの温かい海に蜜煮した栗が3個ぽっかりと浮いていた。それに餅の存在感。

 

お椀は大きめで、湯気を放つ小豆の量も申し分ない。

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小豆は形はしっかりあるのに、皮まで柔らかく炊かれていて、職人の手の匂いがするよう。

 

甘さがほどよく抑えられていて、塩気もほのかにある。

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上質のあんこだと思う。

 

栗の食感はほっこりしていて、ぜんざいとのマッチングがいい。

 

少し焼色が付いた餅が思った以上に柔らかい。

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しかも伸びる、のびる

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主役のあんこの美味さが光る。

 

いい風味が口いっぱいに広がる。

 

たまたまいらした6代目に話を聞くと、小豆は北海道・美瑛町(びえいちょう)の朱鞠小豆(しゅまりあずき)を使っているそう。

 

ふくよかさと香りが特徴の希少小豆。美瑛町の特産ものだった。

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砂糖も上白糖にわざわざ鬼ザラメをブレンドしている。「そのほうがコクが出ます」とか。

 

昆布の佃煮が箸休めに付いていて、しその実の塩漬けとはまた違ったフェイントをかもし出している。

 

餅は焼き色がもう少し付いていた方が好みだが、ここの餅はひと味違った。

 

餅米は新潟産で、毎朝、「どすんどすん」とすごい音で搗いているそう。

 

やわらかさと伸びがマックスに近い。

 

それがふくよかなあんこと絡み合う。

 

老舗和菓子屋さんのこだわり方。

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そこに栗の合いの手。耳を傾けると、小豆が「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」を歌い始める・・・そんな感じかな。

 

あんこ好きにはたまらない小世界。

 

どこか甘い秘密の匂いのするこの季節限定の栗ぜんざい。

 

すっかりお腹に納めると、師走の寒風もオミクロン株の不安もどこかへと飛んでいく気がするから不思議だ。

 

福島家の創業は江戸時代末期の文久元年(1861年)。

 

連綿と続く、あんこ力。

 

この際だから、小豆の魔除けにすがるのも悪くはない・・・。

 

和菓子&喫茶室「福島家」

所在地 東京・豊島区巣鴨2-1-1

最寄り駅 JR山手線(または南北線巣鴨駅北口から歩約1分

 

 

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夜空切り取った?麻布あんみつ羊かん

 

「羊羹ファンタジア」会津若松長門屋)や「秋襲(あきがさね)」(京都・鶴屋吉信「りぶれ」山形市・佐藤屋)など創作ようかんの世界がきらめいている。

 

その星々の中で異彩を放っているのが「一枚流し麻布あんみつ羊かん」である。

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東京・西麻布「和菓子司 昇月堂」(しょうげつどう)の、これは傑作ではないか?

 

「ユニークなようかんがあるよ」との情報は知ってはいたが、何となく「受け狙い」の匂いがして、近づくのを後回しにしてきた(失礼しました)。

 

たまたま渋谷に用事があり、時間があったので、その足で西麻布まで足を延ばした。

 

思い込みと勘違いは恐ろしい。

 

まずはとにかく見ていただきたい。

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夜空にあんみつの星々?

 

なぜか「解剖台の上のミシンとこうもり傘の出会いのように美しい」というロートレアモンの詩の一節が頭に浮かんだ(ン?)。つまり、フツーはありえない出会い。

 

そんな表現をしたくなるほど、あんこワールドで起きた奇跡の一品と言いたくなる。あまりにシュールな創作ようかん。

 

まず目が奪われ、半信半疑で賞味すると、その不思議な食感と美味さに「ほお~」が3回は出た。ビックリマークも三つほど。

 

創業が大正7年(1918年)、これをつくった「昇月堂」3代目の発想と技術力。

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広尾駅から歩いて10分ほど、坂の多い、歴史のある閑静な街の一角に、和のモダンと表現したくなる瀟洒(しょうしゃ)な店構えが見え、思い切って入ると、ここが上生菓子屋さんでもあることが肌でわかった。

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私が大好きな下町とは趣が違うが、別種の本物感が伝わってくる。

 

ずいぶん昔、私はこの近くでコピーライターの駆け出しだったことをつい思い出した。

 

あん子「そんなどうでもいいこと(笑)。早く本題に移ってくださいな」

 

編集長「ごめん。では解剖台の上に奇跡のようかんをのっけてみよう(笑)」

 

・今回ゲットしたキラ星

 一枚流しあんみつ羊かん 1箱1188円(税込み)

 麻布どら焼き蕎麦 1個270円(税込み)

 

【本日のセンター】

すべて自家製「一枚流しあんみつ羊かん」

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一枚流しとは、箱に羊羹を流し込んだもので、有名なのは福井の水ようかん。枠流し(煉り羊羹)を切り分ける棹ものよりも簡素で、賞味期限は短い。

 

それにあんみつをアレンジするとはびっくり。

 

昇月堂3代目のオリジナル。

 

箱の大きさは約155ミリ×110ミリ×15~20ミリ。

 

シャレた紙箱をしずしずと開けると、これって夜空の宝石箱みたい。

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こりゃあすげえ!

 

ピンクと白の大きめの求肥が3個ずつ。

 

蜜煮した大栗も3個。お月様が三つぽっかり。

 

サイコロ切りの透明な寒天(こちらも大きめ)がざくざくと惑星のごとく浮かんでいる。

 

その下に広がる小倉色の、きれいな羊羹(長四角の宇宙)。

 

よく見ると、ふくよかに蜜煮した丹波大納言がつややかに隠れている。

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切り分けてからショータイム(賞味タイムが正しい)。

 

羊羹自体は水ようかんに近い、みずみずしいなめらかな舌触り。ほどよい上品な甘さ。

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自家製寒天のきりっとした食感が、なめらかな流し羊かんと絶妙なコンビネーションで、そこに求肥や大栗が代わるがわるやってきて、舌の上から脳天(夜空)へと抜けていく・・・そんな感覚。

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買う前の受け狙いでは?という思い込みが恥ずかしい

 

想像を超えた上質な美味さと言うほかない。

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丹波大納言の余韻がしばらく残る。

 

ベースのこしあんがここまでクリエイティブに変換していることに、ここは脱帽。一歩下がって敬意を表することにしよう。

 

【サイドの一品】

どら焼きの真珠「麻布どらやき蕎麦」

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上生菓子は日持ちがしないので、「賞味期間は4日間です」という「麻布どらやき蕎麦」を買い、翌日の賞味となった。

 

そば粉のどら焼きとは珍しい。

 

見た目は確かにそば粉の色。グレーがかったきつね色の焼き色。

 

大きさは左右約85ミリ。全体の厚さは約20ミリ。どら皮は薄め。重さは89グラムほど。

 

中のあんこは丹波大納言小豆がたっぷり。中心部にはぷにゅっとした求肥(ぎゅうひ)がひそんでいた。

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ひと口め。

 

どら皮のしっとりとした食感がとてもいい。そば粉のいい風味がほんのり。

 

そば粉に少し米粉を加えているようだ。

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丹波大納言あんこは艶やかでふっくらと柔らかい。控えめな甘さ。

 

3代目によると、砂糖は鬼ザラメを使っているようだ。

 

こだわりの強い、上質のあんこだと思う。

 

そば粉のどら皮と求肥と三位一体の絶妙なコラボで、実にうまい

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うさぎや系の正統派どら焼きとは違う、抹茶が合いそうな、異端のどら焼きだと思う。

 

しかも技術の裏打ちをしっかりと感じる。

 

個人的な考えだが、異端が正統を超えることだってある(意味不明?)。

 

反省を込めて・・・気を付けよう、思い込みと勘違い。

 

今回は意外性にやられてしまった。

 

「和菓子司 麻布昇月堂」

所在地 東京・港区西麻布4-22-12

最寄り駅 東京メトロ広尾駅から歩約10分

 

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元祖栗蒸し羊羹の「幸せホルモン度」

 

栗の美味しい季節に無性に食べたくなる一つが栗蒸し羊羹。

 

「えっ、栗ようかんでしょ?」

 

10年前なら私もその口だった。蒸し羊羹は小麦粉の加減で美味さが違ってくる気がする。

 

栗羊羹か栗蒸し羊羹か・・・ハムレットの心境になる(笑)。

 

寒天を使うか小麦粉を使うかの違いだが、私の好みのポイントは「秘すれば花」のこしあんの魅力を生かすか殺すか、となる。

 

という前振りで、今回取り上げたいのは浅草雷門の老舗「龍昇亭 西むら」の元祖「栗むし羊かん」である。名店の一つ。

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菓子処の創業が安政元年(1854年)だが、それ以前は掛け茶屋(よしず張りの簡素な茶屋)だったようで、そこまでさかのぼると、文政年間(1830年頃)までたどれるようだ。

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編集長「やっぱりここだよね。隣がどら焼きの大行列店『亀十(かめじゅう)』で、渋好みの和菓子好きとしてはちょっと複雑な心境になる(笑)」

 

あん子「西むら派と言いたいわけですね(笑)。ここの栗蒸し羊羹は確かに美味しさがひと味違う気がするわ。今回はどら焼きも買ったんでしょ?」

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編集長「まあね。どら焼きもいいレベルだったけど、やっぱり栗蒸し羊羹だなあ。こしあんの魅力をうまく引き出した、私が食べた中でも栗蒸しベスト8に入る味わいだよ」

 

あん子「栗の美味さはどうですか? パッケージも竹皮包みは無理としても、経木をあしらうとか・・・あまりにシンプルな真空パックなので、見た目でもったいない気がするけど」

 

編集長「シンプルイズベスト、中身が一番だよ。ロバータ・フラックを見なさいよ(笑)。やっぱりそこは外しちゃいけないと思うな」

 

今回ゲットした星々

 元祖栗蒸し羊羹1棹(税込み 1080円)

 どら焼き(同216円)

 チーズバター入りどら焼き(同300円)

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【本日のセンター】

元祖栗蒸し羊羹の幸せホルモン

 

蜜煮した黄色味の深い大栗がゴロゴロ。しかもよく見ると、蒸し羊羹本体にも砕かれた栗が練り込まれている。

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サイズは長さ約180ミリ、幅40ミリ、厚み38ミリほど。重さは約290グラム。

 

蒸し羊羹本体は小倉色の、深みのある色で、見つめていると、妖艶なしぐさで「おいで」されている気分になってくる(おいおい)。

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この蒸し羊羹の秀逸なのは口に入れてから数秒するとわかる。

 

もっちり感と口どけの良さ。

 

よくある蒸し羊羹のような、過剰な小麦粉の存在をあまり感じない。

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北海道産厳選小豆で炊いた自家製こしあんが奥の方から気が付いたら表舞台にすっと出てくる感じ。

 

こしあんの魅力を最大限に引き出した蒸し羊羹だと思う。

 

蜜煮した栗はホクホクと帯をほどき、蒸し羊羹本体と絶妙に融け合う(ホントそんな感じです)。

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自然でほどよい甘さ。かすかな塩気。その余韻。

 

小麦粉の他に葛粉を使っているようで、それがこの何とも言えない絶妙な美味さを作っているのかもしれない。

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幸せホルモンセロトニン)がジワリと広がる栗蒸し羊羹・・・浅草にはいい和菓子屋さんが多いが、ここもその代表の一つと言える。

 

現在は5代目で、京都でも職人修業している。

 

技術のいる上生菓子も作っているが、きんつばや豆大福なども店頭に並んでいる。

 

京都と浅草のタイムトンネルがこの店のずーっと下にある。

 

【サブはどら焼き進化系】

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編集長「どら焼きはフツーに美味いね。きちんと作っているのがわかる。あんこはつぶあんだけど、小倉あんにしている。ふっくらしたつぶつぶ感とこしあんがいい塩梅で、甘めだけど塩気が効いていて、ベースにある技術が感じられる」

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あん子「手焼きのどら皮のスポンジ感といい、全部がフツーに美味しいわね。大きさもやや大きめ(左右約90ミリ、重さ約105グラム)。焼き色が濃いですね」

 

編集長「面白いのは『チーズバター入りどら焼き』だね。バターどら焼きは珍しくないけど、チーズバターは珍しい。5代目のチャレンジではないかな。『西むら』の焼き印にプライドを感じる」

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あん子つぶあんの上にチーズバターが分厚く乗ってるけど、食感はクリームチーズマスカルポーネね。つぶあんとなめらかなチーズバターのほんのりした塩気が合っています」

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編集長「チーズバターが少し出過ぎてる気がするけど、インパクトを優先したのかな?」

 

あん子「そこは好みの問題ですね。若い子にはこの方が受けるかも。亀十のような観光客などの混雑もないので、穴場と言えるんじゃないかしら」

 

編集長「確かに(笑)。本物は隠れている、ってことじゃないかな」

 

・御菓子司 龍昇亭西むら本店

所在地 東京・台東区2-18-11

最寄り駅 浅草駅から歩約3~4分

 

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究極のこしあん「ときわだんご」

 

「浦和名物 ときわだんご」のかすかな名声は聞いていたが、今回ようやく訪問できた。

 

あんこ好きの間では浦和レッズよりもときわだんごだよ」とつぶやく人もいる(私は浦和レッズのファンだが)。

 

何せ創業が明治8年(1875年)、浦和駅ができる前からこの場所に暖簾を下げているのだから、年季が違う。

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浦和コルソの一角。暖簾をくぐると、雰囲気のある小さな和菓子屋さんのレトロな世界。栗蒸しなど餅菓子が並んでいる。朝ドラ「カムカムエヴリバディ」もここにはかなわないと思う。

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ときわだんごを一折買おうとしたら、品のいいご高齢の女性から無添加なのでできれば夕方までに食べてくださいね」と念押しされた。

 

これはすごいかも・・・女性のお顔をまじまじと見てしまった。

 

五代目女将さんだった。わわわ。うらわわわ。

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方針転換。甘味処でも食べれるとわかって、腰を落ち着けてから、一人前(緑茶付き 税込み650円)を頼んだ。和菓子は作り立てが一番だと思う。特にだんごや餅菓子は。

 

歴史を感じる、むしろ簡素な和づくりの店内。

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ほどよい広さ。常連客が多いようだ。

 

驚いたことにNHK大河ドラマの主人公、渋沢栄一がこのだんごのファンで、園遊会などでよく使っていたそう。

 

【本日のセンター】

こしあんきな粉(糸切りだんご5個ずつ)の美味さに舌を巻く

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編集長「これはちょっと驚きだった。米粉よもぎのだんごもきれいな味わいだけど、こしあんが素晴らしい。しっとりとした舌触りで、塩気が強めだが、口に入れた瞬間、いいあんこの雑味のない風味がふわっと立ち上がって来たよ。まるで春風!  おおって感じ」

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あん子「また始まった。上にバカが付く感動屋さん(笑)。部員の私を置いて一人で食べに行くなんて、編集長としては失格ですよ」

編集長「悪かった。でもホントだよ。こんなに感動したこしあん奈良・葛城市『中将堂』のよもぎ以来かも。舌に粒子を感じるあんこってそうはない。だんごは中将堂ほど柔らかさは感じなかったけど、こしあんの魅力が凄すぎ」

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あん子「ま、好みだったということですね(笑)。で、素材や作り方もちゃんと聞いたんでしょ?」

 

編集長「それが・・・小豆は多分北海道産の厳選小豆だと思うけど、五代目女将さんに『そんな難しいこと言わないで、とにかくじっくりと召し上がってください』と言われちゃった。その通りなので、これは分析よりも味わうことが大事とあれこれ聞くのをやめた(笑)。もっと早く来るべきだった。本物だよ、この店は」

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あん子「名物にうまいものなしって言うけど、ここは別次元ってわけね。ごちそうさま」

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編集長「忘れるところだった。きな粉も絶妙だったよ。白っぽいきな粉で、こちらも口の中で吹き上がるような香ばしさだった。木の器も含めて、凄いだんごなのは確かだよ」

 

【本日のサブ】

コーヒーを飲みながら鹿の子と栗むし羊かん       

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「鹿の子」(税込み180円)と季節限定の「栗むし羊かん」(同200円)は賞味期限が翌日まで持つので、編集室に持ち帰って賞味した。

 

どちらもやや大きめ。

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職人の熟練の手の動きが見えるようなお姿。

 

あん子くんがコーヒーを淹れてくれ、じっくりと味わうことにした。BGMはショパンが合いそう。

 

編集長「鹿の子も塩気がほんのりでいいあんこだ。寒天の膜と大粒の小豆(大納言?)がやや硬めで、中のなめらかなこしあんとの対照がいいね」

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あん子「ただのだんご屋さんではないのがわかる。編集長が言うようにこしあんのレベルが確かに高いですね。私は大納言小豆はもう少し柔らかいほうが好きかな」

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編集長「でも小豆の風味がすごいでしょ? 五代目女将さんは教えてくれなかったけど、上質の素材を使っているのがわかる。野暮を承知で言えば、十勝産えりも小豆じゃないかな。みやびか同等の小豆を使っているんじゃないかな」

 

あん子「栗むし羊羹はきれいな栗がドカンと乗っていて、素朴で剛毅な印象ですね。こちらも塩気がほんのりで、ときわだんごは塩気をうまく使っていて、関西のものとはそこが違う気がする」

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編集長江戸⇒東京のあんこが底流にあると思うなあ。五代目女将さんからも『だんご屋にそんな野暮なこと聞かないでよ』と言外に言われた気がする。聞きたがる病の私としては少し反省しなくっちゃ」

 

あん子「私を置いていった罰かもね(笑)。コロナでしばらく行ってないけど、浦和に行きたくなったわ」

 

編集長浦和レッズの応援がてら、近いうちに行こう」

 

あん子「いつになることやら・・・」

 

「ときわだんご」

所在地 さいたま市浦和区高砂1-21-1コルサ1F

最寄り駅 JR浦和駅西口すぐ

 

 

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「饅頭ルーツ」塩瀬のどら焼き

 

和菓子の歴史好きの人なら、「塩瀬(しおせ)」と言えば日本最古のあん入り饅頭(まんじゅう)を作った超老舗、と答える人が多いと思う。

 

何せ初代が室町時代に中国から帰化した林浄因(りんじょういん)で、奈良⇒京都⇒三河⇒京都⇒東京と暖簾を移し、その間に「塩瀬」と改名し、「日本第一饅頭所」の称号を受けている。

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現在34代目。びっくら。饅頭に関しては歴史的には虎屋も尻尾を巻くかもしれない。

 

ここの目玉が「塩瀬饅頭」。一口で食べれるサイズで、米粉上新粉)に大和芋を練り込んで蒸かしたきれいな皮と中のこしあんが美味しい。

 

以前、このブログで戦国時代、徳川家康も愛した上生菓子「本饅頭」(ちょっと高いがスペシャルに美味い)を書いたことがあるが、久しぶりに東京・明石町の「塩瀬総本家」を訪ねた。

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「塩瀬饅頭」(9個入り 税込み1296円)を買い求めてから、ふと見ると「塩瀬総本家のどら焼き」(税込み 270円)が目に留まった。

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塩瀬総本家のどら焼き? 以前にはなかったはず。

 

新しいチャレンジかもしれないぞ。

 

どら焼き好きとしてはここは避けて通れない(笑)。

 

賞味期限が2日ほどなので、翌日、自宅で煎茶とコーヒーを用意してから、好奇心ドキドキで賞味することにした。

 

空からドラえもんが見ているかもしれない。

 

【本日のセンター】

どら皮とこってり系あんこのマリアージュ

 

手焼きのきれいなきつね色。小麦粉と新鮮な卵の香りがうさぎやのどら焼きと似ているが、ハチミツを加えていないのが珍しい。

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カフカとしていて、しっとり感もある。

 

ある種のシンプルさが「塩瀬総本家」の看板を裏切らない

 

大きさは「うさぎや」よりも小さめ。

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左右約90ミリ。厚みは約30ミリ、重量は77グラムほど。

 

中のあんこは粒あんで、艶のあるこってりした重量感が特徴だと思う。やや甘め。

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小豆は厳選した北海道産えりも小豆、砂糖は白ザラメを使用しているようだ。

 

塩気がほんのり。

 

どら皮の美味さとあんこの美味さが、口の中でいい和のマリアージュを作っている。

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うさぎやのどら皮よりもふかふか感がある。

 

口に入れたとたん、唾液がジワリと出て来るような。

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密度のあるあんことの合体の余韻がしばらく消えない。

 

さすが総本家のどら焼き、と言いたくなるレベルだと思う(乳化剤を使用しているのがちょっと残念)。

 

個人的な好みをあえて言えば、日本橋うさぎやだが、これはこれでふくよかで上質な美味さ。

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現在の当主は34代目。

 

塩瀬饅頭、上生菓子、そして少し横のところにどら焼き。

 

塩瀬の中ではこれは主流ではないが、とてつもない悠久の歴史を想うと、頭がくらくらしてきた。

 

タケコプターがあれば、かつて塩瀬があった場所、京都・饅頭屋町に舞い降りて右手に塩瀬饅頭、左手にこのどら焼きをパクパク・・・ついついバカげた空想に襲われた。

 

【本日のサブ】

さらに美味くなる「塩瀬饅頭」私流の楽しみ方

 

表面に「志ほせ」の焼き印のある「塩瀬饅頭」は皮が美味しい。米粉上新粉)と大和芋の薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)だが、昔からの一口サイズで、あっという間に5~6個はすぐになくなる。

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鹿児島のかるかんも米粉だが、小麦粉の皮とはひと味違う。

 

淡雪のようなみずみずしさが特徴。

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舌の上できれいな余韻とともにフェードアウトする食感がすがすがしい。

 

中のあんこはこしあん

 

底から見ると、黒が滲んだ赤紫色のあんこがうっすら見える。

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どこか高貴な気配すらする。

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甘すぎないやや固めのいいあんこだが、思ったほどの特別な感動はこない

 

そのままレンジ(500W)で15秒ほどチンしてみた。

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ちょっと驚きの変化だった。

 

皮が蒸かし立てのようになり、中のこしあんも作り立てのようなふくよかさが出てきた。

 

あんこの七変化? 淡い塩気。

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口の中で広がる清冽な味わいがふわふわと広がった。

 

個人的な印象ではさなぎが蝶に変化したよう(失礼)。

 

これが「塩瀬饅頭」の本当の実力か、と改めて脱帽したくなった。

 

気が付いたら指が勝手に動き、30分後には9個すべて胃袋に収まっていた(まさか!)。我ながらあきれる(笑)。

 

 

●「塩瀬総本家」

所在地 東京・中央区明石町7-14

最寄り駅 東京メトロ新富町駅から歩約7~8分

 

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「殿堂入り」のあんドーナツ

 

あんドーナツはどこか懐かしい響きがある。

 

神奈川のB級グルメ大会「フードバトル」で2年連続金メダルを取り、「殿堂入り」したというあんドーナツを食べることになった。

 

殿堂入りとはどんなもんかいな。

 

砂糖をあきれるほどまぶした、まんまるいお姿は、昭和の匂いがプンプンする。

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知る人ぞ知る工場のパン屋さん「オギノパン」の工場直営店相模原市緑区)に立ち寄り、7~8人の行列に並んでゲットして、天使のいる娘夫婦の家で賞味となった。

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「丹沢あんぱん」(9~12種類)で知られるが、あんドーナツは揚げたてが一番美味いというポリシーで、売り場と少し離れたところで、そこだけ昭和な一角で、2人の白衣のスタッフが、いい匂いとともに、忙しそうに揚げてから、すばやく砂糖をまぶしていた。

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こしあん入りの「あんドーナツ」とコッペ型のあげパン、カレードーナツの3種類だけ。

 

その他に目玉商品の「丹沢あんぱん」も5種類だけゲット、こちらは自宅に戻ってから、牛乳とコーヒーを用意して、じっくりと食べることにした。

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あんぱんに牛乳は欠かせない。

 

〈今回のラインアップ〉

あんドーナツ(税込み 150円)

・あげぱん(同 120円)

丹沢あんぱんつぶあん

丹沢あんぱん(こしあん

丹沢あんぱん(栗あん)

丹沢あんぱん(みるくあん)

丹沢あんぱん(ピスタチオあん)

 

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【本日のセンターは?】

「B級殿堂入り」揚げたてあんドーナツ

 

オギノパンは出発点が給食用のパン製造業(創業は1960年)で、町の小さなパン屋さんとは趣が少々異なる。

 

素材や捏ね方、寝かせ方、焼き方など、工場を見学して少しわかったが、コッペがベルトコンベア式で次々に流れてくる光景は、ある種感動的だが、個人商店のものとは違う。

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それでも素材にこだわり、手作業を取り入れようとしているのがわかる。

 

あんドーナツはその最たるものかもしれない。

 

揚げてから30分ほどしてからの賞味となった。

 

ごらんの通り、昔ながらの正統派のあんドーナツ

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砂糖がたっぷりまぶしてあり、油の匂いが、鼻腔をくすぐる。

 

なでなでしたくなる、いい揚げ色。

 

手で二つに割ろうとすると、柔らかなパン生地が、抵抗するようにぎりぎりまで伸びる。まだ温かい。

 

こしあんがたっぷり詰まっていた。

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こしあんはなめらかで、甘さが抑えられている。

 

口に入れて、噛んだ瞬間、小麦粉(北海道産)の香りと工場のパン屋さんのこしあんとは思えないふくよかな味わい。

 

ザラザラとこぼれ落ちる砂糖。

 

「おっ、うまいじゃん」言葉が素直に漏れてくる。

 

食べ終えても昭和の甘い断末魔の余韻がしばらく舌の上に残る(甘い断末魔って何だ?)。

 

グダグダ書いてしまったが、「セピア色の殿堂」ってところかな。

 

※シンプルなあげぱんもイケたが、あんなしなので、スペースの関係で省略します。

 

【サブは丹沢あんぱん5種】

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小ぶりのあんぱん。1個税込み150円。つぶあん(右端)の重さは約60グラムほど。大きめの饅頭サイズ。ゲットしてから20時間近くたってからの賞味となったので、ブリオッシュ生地が少しパサついていた。

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なので、個人的にはつぶあんこしあんも期待したほどの感動はなかった。

 

あんこ自体はボリュームはすごいが、それなりの味わい。

 

中でもこれはイケる、と感じたのは栗あん、みるくあん、ピスタチオあん

 

気に入った順に並べると、

 

①ピスタチオあん 

なぜか皮(生地)のパサつきが少なく、白あんとブレンドしたピスタチオの風味がさわやか。すっきりとしたやや緑色がかったあんこがしっとりしていて絶妙に感じた。ピスタチオのつぶつぶ感が効いている。あんこのボリュームもかなりある。

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②みるくあん

白あんと練乳クリームをブレンド。これも皮のパサつきが少なくて、みるくあんもふくよか。表面頂上にはチーズがほんのり。芸が細かい。

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③栗あん

今が旬の季節限定のあんこかもしれない。白あんと栗の相性がバッチリ。

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つぶあん

北海道十勝産小豆が甘さ控えめにまとめられている。パン生地が少しパサついているのは残念。和菓子のような感覚のあんぱんだと思う。

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こしあん

こしあんはなめらかだが、やはりパン生地がパサつき気味。惜しいなあ。

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〈追記〉

霧吹きでさっと水分を付けて、レンジで15~20秒ほど温めたら、ブリオッシュ生地のパサつきがなくなり、味わいが1ランク上がった。工場で買ったとき「レンジで10秒温めるとさらに美味しくなります」と言われたが、個人的な感想では10秒では少し足りない気がした。

 

【本社工場直売店の所在地】

神奈川・相模原市緑区長竹2841

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京下町の仰天「田舎まんじゅう」

 

京都の「おまん屋はん(饅頭屋)」には数的にかなわないが、東京にもいい饅頭屋が隠れている。今週は金星めっけた気分じゃ。

 

私の好きな「高橋の酒まんじゅう」(荻窪)に負けない、もし東京まんじゅう屋番付があったら、東の横綱格に位置付けたくなる饅頭屋さんが下町にある(個人的な評価ですが)。

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三ノ輪駅で途中下車、国際通りを浅草方面へ歩いて7~8分ほど。竜泉3丁目の標識が下町の歴史を感じさせる。金星が隠れている場所。

 

江戸時代は遊郭吉原が繁盛した地帯で、明治になると、かの樋口一葉が一時、この界隈で駄菓子屋を営んでいた(現在は樋口一葉記念館)。

 

青空の下、寒風にさらされながらひるがえる「まんじゅう」のノボリがどこか懐かしい。

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知る人ぞ知る手作りまんじゅうオンリーの「おし田」である。

 

小さな店構え。売られている饅頭は2種類、「田舎まんじゅう」(税込み 135円)と「白まんじゅう」(同135円)だけ。

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何という存在感。出会った瞬間、ひと目で持っていかれそうになってしまった。

 

タイムスリップして、明治・大正から抜け出てきたような、驚くほど素朴な饅頭で、ついひれ伏したくなりませんか?

 

東京下町の饅頭屋さんの隠れた実力を思い知らされる。

 

京都のおまん屋はんとどこかつながっている気もする。

 

店は創業が明治43年(1910年)、話好きの女将さんと3代目店主が二人で切り盛りしていて、「下町っていいなあ」とつぶやきたくなる。

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湯気の中で饅頭づくりの最中の店主の動きをずっと見ていたくなる。

 

なかなか見れない光景だと思う。

 

田舎まんじゅうと白まんじゅうを二個ずつ、二折包んでもらって、夜遅く、自宅に戻ってから、賞味することにした。

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添加物ゼロ、賞味期限は「今日中に」なので、黄金の時間が夜になってしまった(蒸かし立てが一番美味いのに)。

 

【本日のセンター】

名物田舎まんじゅうのつぶあんの美味さがマックス

 

「名物」と銘打っているだけに、こちらが主役だと思う。黄色っぽいグレーの皮が半透明で、中のあんこがうっすらと透けて見える。

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大きさは左右約65ミリ、厚みは35ミリほど。重さは83グラム。

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かなりの大きさで、表面のでこぼこ感が魅力的で、この手作り感がたまらない

 

ちょっと見には、茨城・結城市のゆでまんじゅうを思い起こす。

 

あるいはゆでまんじゅうの親分。

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驚くべきは中のあんこ(つぶあんで、「北海道産小豆と上白糖、使っているのはそれだけです」と教えてくれたが、口に入れた瞬間、いい小豆の風味がふわっと吹き上がるのがわかった。おおお。

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ぎっしりと詰まった濃い藤紫色のあんこ。

 

甘さは控えめで、何よりもその吹き上がり方がマックス級としか言いようがない。

 

小豆の皮までなめらかで、ふくよかなあんこ。

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雑味がない。代々受け継がれた、秘伝のあんこだと思う。

 

うめえ、という言葉が自然に何度も出て来る、そんな饅頭はそうはない、と思う。

 

時間が経つにつれて、皮がかたくなるようで、やはり蒸かし立てを食べるのが一番だと少し反省した。

 

【本日のサブ】

皮がふかふか、食感がマイルド「白まんじゅう」

 

こちらは「ふくらし粉を使っているので白くなるんですよ」(女将さん)とか。

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皮のしっとりとしたふかふか感が、こちらの方が個性が穏やかで、万人向けだと思う。

 

中のつぶあんは同じもの。

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買ってから8時間ほど経過していたので、レンジ(500W)で20秒ほど温めてみた。

 

全体の風味がさらに増した気がしたが、最初の印象が強烈だったので、感動が微妙に変化した気もする。

 

レンジは元々の味わいを3~5%くらい減らすのではないか?(個人的な印象です)

 

【日本酒との相性は?】

たまたま友人から長野・飯山市辛口吟醸酒「水尾」(田中屋酒造店)をいただいたので、残りの饅頭とマッチングしてみた。

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組み合わせとしてコーヒー、お茶と合うのはわかっているが、辛口吟醸酒はどうか?

 

結論的にはこのマッチングは合うと思う。相性度90%くらいかな。

 

個人的には、田舎まんじゅうよりも白まんじゅうの方がお酒との相性はいいかな、というのが食後の感想。

 

樋口一葉は明治29年に24歳で亡くなっているので、この「おし田」の饅頭には出会っていない。

 

もし食べていたら、どんな感想を残したか、ついあれこれ想像したくなった。

 

「おし田」

所在地 東京・台東区竜泉3-10-8

最寄り駅 東京メトロ三ノ輪駅下車 歩約7~8分

 

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