週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

ワインとどら焼き3種、相性は?

 

今回はディナータイムに遊び心でちょっと面白い実験をしてみた(実験はオーバーだよ)。

 

赤ワイン(G7=チリ産カベルネソーヴィニヨン)、白ワインシャルドネ)、それにブレンドコーヒーを用意し、前橋市で人気の創作和菓子屋さんでゲットした3種のどら焼きをマリアージュ(結婚=相性)させてみたくなった。

f:id:yskanuma:20211021120539j:plain

 

前橋の中心街・千代田町アーケード商店街にある「なか又(なかまた)本店」は不思議な店で、定番のどら焼きをベースにふわふわのメレンゲどら焼き、フルーツ大福などバラエティーに富んだ創作和菓子が売りのお店。

f:id:yskanuma:20211021120615j:plain

f:id:yskanuma:20211021120639j:plain

f:id:yskanuma:20211021120704j:plain

 

数人の若い和菓子職人(パティシエ?)がガラス張りの板場で制作中。

 

その現場をお客に公開しているのも和菓子界では新しいスタイルだと思う。

f:id:yskanuma:20211021120738j:plain

 

7~8人の行列(ほとんどが若い女性客)に並び、購入したのが次のどら焼き3種類。

 

つぶあん(税込み194円)

わぬきあんバター(同259円)

ふわふわわぬきあんクリーム(同313円)

 

賞味期限が「本日中に」ということで、夜7時過ぎに自宅に帰ってから、赤と白ワイン、それにブレンドコーヒーでマッチングしてみた。

f:id:yskanuma:20211021120825j:plain

 

すでにこのブログでも実験しているが、ウイスキーとようかんなど和菓子とお酒類は意外に合ったりする(ホントです)。

 

今回はワインとどら焼き。合うかどうか、いわばお見合いみたいなもの。ドキドキワクワクの時間(笑)。

 

お見合い① どら焼き(つぶあん)×白ワイン×赤ワイン

屋号の「又」の文字が焼印された定番のつぶあんどら焼きは、大きさが左右約100ミリ、厚さ42ミリ。重量は約120グラム。あのうさぎや」のどら焼きによく似た焼き色と大きさで、一枚一枚手焼きの皮の美味さが光っている。

f:id:yskanuma:20211021120923j:plain

f:id:yskanuma:20211021120954j:plain

 

中のつぶあんつぶつぶ感が強めで、私の印象ではちょっと固めのあんこ。

 

あんこはもちろん自家製で、北海道産小豆に上白糖で炊いているそう。

f:id:yskanuma:20211021121242j:plain

 

〈感想〉白ワインは期待したほどのマリアージュはなかった。シャルドネということもあるのか、酸味とタンニンがつぶあんどら焼きの穏やかな甘みを消す方向に引っ張っている印象。

赤ワインはその逆で、カベルネソーヴィニヨンの熟成感がつぶあんどら焼きを邪魔していない印象。このマッチングは合っていると思う。

 

お見合い② どら焼きあんバター×白×赤

バターの風味と塩気がつぶあんと見事に融合している。コーヒーも合う。白ワインはここでもプラスα効果が感じられなかった。赤ワインはいいマッチング。余韻を含めて、白より赤の方が合っていると思う。

f:id:yskanuma:20211021121336j:plain

f:id:yskanuma:20211021121414j:plain

f:id:yskanuma:20211021121445j:plain

 

お見合い③ ふわふわあんクリーム×コーヒー

このふわふわ系創作どら焼きは、皮にメレンゲを加えていて、どら焼きというよりスフレのような食感。3種類の中で価格が一番高いが、歯を入れた瞬間、軽い驚きが「イケる」に変わっていく。メレンゲの香りとあんクリームが絶妙だと思う。

f:id:yskanuma:20211021121518j:plain

 

あんクリームはつぶあんと生クリームブレンドしていて、スフレ状の厚い皮とよく合っている。あんこ大好き人間としてはもう少しあんこの量があった方がいい。

f:id:yskanuma:20211021121547j:plain

f:id:yskanuma:20211021121633j:plain

 

ワインはやはり白より赤の方がマッチングとしてはベターと思うが、ブレンドコーヒーがベストに近いな、という印象だった。(感想はいずれも個人的なものです)

 

「なか又」は創業が2018年3月と歴史は新しい。「和菓子」と表記せず「和む菓子」と表記しているのも遊び心とコミュニケーション志向から来ているようだ。

 

商品名に「わぬき」とあるのは前橋市の市章(旧前橋藩主・松平氏の馬印から取っている)にちなんだものだそう。

 

「和」と「洋」をくっつけるという意味もありそうだ。

 

和菓子の世界をさらに広げるという意味で、こうした新しい試みは注目していきたい。

 

「なか又 前橋本店」

所在地 群馬・前橋市千代田町2-7-21

最寄り駅 JR両毛線前橋駅から歩いて約12~15分

 

 

             f:id:yskanuma:20211021121941j:plain

 

 

 

「シャンパンいちご大福」食べてみた

 

編集長「どうしようか迷ってたけど、誘惑に駆られて、お取り寄せしちゃったよ。物は試しでね」

 

あん子「メディアでも随分と取り上げられて、へそ曲がりの編集長としては、躊躇(ちゅうちょ)しちゃうあんこスイーツね」

 

編集長「いちご大福とシャンパンを組み合わせるなんて、和菓子屋さんの発想ではない。フレンチレストランがあんこ、それもいちご大福に目を付けるなんて、フツーは考えられない。登場した時はびっくりしたからね」

f:id:yskanuma:20211014113317j:plain

 

あん子「でもお取り寄せした。好奇心を抑えきれなかったわけね。安くはないし、クール便で届いたら賞味期限は3日間、というのもハードルが高いですね」

 

編集長「宣伝文句によると、東京・広尾のミシュラン一つ星フレンチ『レヴェランス』が遊び心でシャンパンとのマリアージュを実験していて、偶然、出来上がったみたいなことが書いてあったけど、どんな味か、コスパ的にはどうか、クエッションが一杯あった。興味深い代物だよ」

 

あん子「で、ついにお取り寄せして、食べてみた(笑)。今回は私も恐るおそるいただきました。食レポ、楽しみだわ」

 

【本日のセンター】

シャンパンいちご大福(黒あん)

1箱(6個入り) 4104円(税込み)

  ※送料は別途必要

f:id:yskanuma:20211014113418j:plain

 

1980年代に「いちご大福」がすい星のごとく登場して、和菓子の世界にある種の甘い革命を起こしたけど、今回はシャルドネ系のシャンパモエ・エ・シャンドン)を組み合わせた。本物なら久しぶりの興奮(笑)。

 

美味ければ「すごい!」と称賛され、マズければ「そんなのはじめっから無理だよ」と切り捨てられる。

 

だが、有名人を含めて、おおむね好評なので、人気ぶりに拍車をかけている。

 

私が注目したポイントの一つは創業100年を超える老舗和菓子屋さん、赤坂「青野」のこしあんを使用していること。

 

かのスティーブ・ジョブスや皇室関係者にもファンが多い名店で、赤坂界隈では「塩野」と並び、あんこのレベルの高さには定評がある。

 

・初日の試食

 

クール便で届いたその日に2個だけ食べてみた。

f:id:yskanuma:20211014113526j:plain

 

シャレた白い紙箱に6個きれいに納まっていた。

f:id:yskanuma:20211014113628j:plain

 

ドリップコーヒーを用意して、しっかりと包まれたシャンパンいちご大福を真ん中から切ってみることにした。

 

いちご大福とかすかなシャンパンのブーケが鼻腔をくすぐる。

f:id:yskanuma:20211014113813j:plain

 

頂上から少しだけ真っ赤ないちごが顔を出し、羽二重餅は大きめで、うっすらとあんこが透けて見える。

f:id:yskanuma:20211014113920j:plain

 

つかみはオーケー。期待感も膨らむ。

 

サイズは幅約60ミリ、高さ40ミリ。重さは約85グラム。

f:id:yskanuma:20211014113947j:plain

f:id:yskanuma:20211014114828j:plain

 

餅があまりに柔らかい(求肥餅のよう)ので、切るのに少し苦労したが、見事な断面が現れた。

f:id:yskanuma:20211014114016j:plain

f:id:yskanuma:20211014114037j:plain

 

とちおとめかあまおうか、種類は不明だが、瞬間冷凍して保存したようなみずみずしい鮮度。

f:id:yskanuma:20211014114100j:plain

 

その周囲を純度の高い藤紫色のこしあんが包んでいた。

 

さすが青野のあんこ!

 

シャンパンはどこにいる?

 

ひと口でこれはすごいね、と思った。

 

餅の柔らかさ、こしあんの絶妙、いちごの鮮度。

 

その合間を縫うように、シャンパンの刺激が全体を不思議な美味さに押し上げている。

f:id:yskanuma:20211014114139j:plain

 

よく見ると、いちごの中心部にジュレ状のシャンパが嵌まっていた。

 

なるほど、これがこのいちご大福の秘密か。

 

ここは脱帽したくなるアイデアだと思う。

 

甘すぎないのが好感。シャンパンのジュレが中心部で全体を引き締めている、そんな感じ。

f:id:yskanuma:20211014114222j:plain

 

初日のせいか、ややいちごのジューシーさが勝っている気がする。

 

こしあんなめらかな舌触りがとてもいい。

 

口の中に幸せなマリアージュ(ワイン用語で結婚、恋愛などの意味)が広がる。

 

1+1=3の世界が確かに存在している。

 

これはあんこの世界における、コロンブスの卵かもしれないな。

 

・3日目の試食

 

賞味期限の3日目。冷蔵庫から取り出し、残りの2個を食べてみた。

 

変化はあるのか、あるいは味が落ちるか、ワクワクしながら。

 

少しだけ餅が固くなっていた。思ったほどの変化はない。

f:id:yskanuma:20211014114418j:plain

f:id:yskanuma:20211014114447j:plain

 

だが、味わいが微妙に変化していた、と思う。

 

全体にマリアージュが進み、初日のどこかぎくしゃくした結婚生活が、絡み合い、じわりと馴染んできて、旨みがさらに増したよう。

f:id:yskanuma:20211014114519j:plain

 

なので、私的には初日よりも3日目の方が気に入った。

 

シャルドネシャンパンの石灰系の苦みが絶妙に効いている。

f:id:yskanuma:20211014114546j:plain

f:id:yskanuma:20211014114626j:plain

 

これは大人の、官能的ないちご大福だと思う。

 

送料も入れると、1個当たり900円近い。

 

なのでコスパ的には微妙かもしれない。

 

とはいえ、異業種のフレンチからこうしたユニークな試みが出てきたこと、大きな目で見ると、悪いことではないと思う。

 

和菓子界にもいい刺激になるのでは?

 

あんこの世界がワールドワイドになっていく。

 

あんこの神様もきっと片目をつぶっているに違いない。

 

「レヴェランス シャンパンいちご大福」

製造者 株式会社DAIFUKU

所在地 東京・中央区築地6-11-8一瀬ビル

 

              f:id:yskanuma:20211014114319j:plain

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋田「あずきでっち」の甘い衝撃

 

編集長「本日はお取り寄せ。幻のあんこを求めて、ネットサーフィンしていたら、すごいお宝にぶつかったよ」

 

あん子「もったいぶり過ぎです。『小豆でっち』でしょ? 3.11後に東北を縦断した時に十文字道の駅で出会ったのと同じだ、って大騒ぎしてたでしょ? バレバレよ」

 

編集長「秋田でも成瀬村周辺でしか作られていない、きわめてレアな郷土生菓子でね。十文字道の駅で食べたときのことを思い出したよ。柔らかく炊いた小豆にもち米と砂糖を加えて練り込んだ、一見蒸し羊羹みたいな、あんこ生菓子なんだよ。とにかくめちゃウマだった。その味が忘れられなくて、しばらくの間、どこかにないかと探したけど、日持ちしないので、現地に行くしかないと言われてあきらめていた。それが今回・・・」

f:id:yskanuma:20211007172327j:plain

 

あん子「ついに見つかったというわけですか。誰も感動しない、お一人さま感動の再会というわけですね(笑)。冷凍便で買えるようになったことが大きいわね」

 

編集長「長い10年だったなあ(涙)」

 

あん子「こっちまで泣けてきそう(笑)。でもでも感動話はこの際、横に置いといて、ではでは小豆でっちの食レポお願いしまーす」

 

【本日のセンター】

レアなあんこ生菓子、あずきでっち(一本勝負です)

 

お取り寄せした先はいろいろな故郷の美味いものをネット販売している「なみへい合同株式会社」(なみへい村の故郷便)。安心安全な特産品のみを扱っているとか。あずきでっちもその一つ。

 

作っているのは秋田県雄勝郡東成瀬村の「TAKAYA OYAMAFOODS」で、小規模で手作りしているそう。

 

夕暮れどき、クロネコ冷凍便で到着。待ってた、ほい。

f:id:yskanuma:20211007172355j:plain

f:id:yskanuma:20211007172457j:plain

f:id:yskanuma:20211007172609j:plain

 

すぐにレンジでチンして食べようと思ったが「常温で解凍し、翌日までにお召し上がりください」と注意事項が書いてあった。

 

我慢の時間。翌日、ドリップコーヒーを淹れ、賞味することにした(あんこ菓子にはコーヒーが意外に合う)。

 

まずは眩いばかりの素朴なナイスバディを見ていただきたい。

f:id:yskanuma:20211007172018j:plain

 

小豆色の凝縮・・・ハッと息を飲むほど美しい(ホントです)。

 

吸い込まれそうになる(ブラックホールではない)。

 

あんこ界のビヨンセか、ニッキー・ミナージュか、はたまたアリシア・キーズか?

 

サイズは長さ130ミリ×幅55ミリ×厚さ36ミリ。重さは300グラム。

 

3時間以上テーブルの上に置いておいたので、すっかり解凍されていて、包丁が少しくっつきながらズズと入る。

f:id:yskanuma:20211007171912j:plain

f:id:yskanuma:20211007173122j:plain

 

よく見ると、こしあんとつややかな小豆が融合している。それにもち米が星雲状に散りばめられていた。

 

ひと口目。

f:id:yskanuma:20211007172848j:plain

 

しっとりとした風味豊かなつぶあんともち米が口の中で小爆発し、やがていい余韻を残しながら、舌の奥まで沁み入るように蕩けていく。

 

う・ま・い。

 

ほどよい甘さ。塩気が意外に効いている。

f:id:yskanuma:20211007173003j:plain

 

このみずみずしい、春風のような食感、何かに似ている。しばし目を閉じる。

 

それがおはぎだとわかるのに時間はかからなかった。

 

京都今西軒のおはぎを長方形に固めたら、こうなるのでは? そんな例えをしたくなる、雑味のない、深い味わい。

 

あんこともち米の見事なコラボだと思う。

f:id:yskanuma:20211007173312j:plain

 

少し脱線するが、秋田のこのあたり(湯沢エリア)は小野小町の出身地とも言われる。京都との何かの縁を感じるのは考え過ぎか?

 

「でっち」という表現も、例えば「でっちようかん」(蒸しようかんや水ようかん)などは、京都にでっち奉公している地方の農家のせがれがお盆やお正月に帰省する際に、店の主人からお土産に持たされたことに由来している(諸説ある)。

 

製造元に電話で確認すると「あずきでっちを練るときにでっちでっちと音がすることから来ていると言われてます。京都ですか? どうなんでしょう?」と逆に質問されてしまった。

 

ほんの少しレンジで温めてみた。500Wで約20秒ほど。作り立ての感じがさらに出てくるようだった。出来立て感。

f:id:yskanuma:20211007173506j:plain

 

ただでさえ美味いのに、おはぎ度が高まった気がした。

 

電話直撃したときについでにあれこれ聞いてみた。

 

小豆は北海道産、もち米は地場のオーガニック米、あんこ作りは自家製で白ザラメと上白糖と塩しか使っていず「すべて手作業で作っています。あんこはゆるーく炊いてます」と教えてくれた。

 

個人的にはこの「あずきでっち」の美味さは全国レベルだと思う。

 

物流の発達でお取り寄せでもほとんど作り立てを賞味することができることがわかった。

 

知られざる名品。

 

あっ、忘れるところだった。

f:id:yskanuma:20211007173610j:plain

 

一本の値段と送料がほぼ同じなので、注文するとき、一瞬だけ、ちょっとどうかな、という思いもあったが、送られてきた冷凍便の黒い紙箱を開けたら、丁寧な礼状とともに「上生菓子が一つ」入っていた。

 

これがスグレモノの「練り切り」で、発売元のなみへい合同会社に「これも秋田ですか?」と尋ねたら、「それは私の知り合いの和菓子教室の先生が作ったもので、サービスです」と笑われてしまった。

 

夢のあずきでっち、コロナが明けたら、また会いに行きたいな。

 

〈本日のお取り寄せ〉

「あずきでっち」 1本(箱詰め)税込み850円

                ※送料は別途

 

・なみへい村の故郷便(なみへい合同会社

東京・中央区日本橋本石町4-2-6神田GMビル

・TAKAYA OYAMAFOODS

秋田・雄勝郡東成瀬村岩井川字沼又59-40

 

               f:id:yskanuma:20211007173845j:plain

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古民家茶屋で「夢のあんこ餅」

 

おおっと、これぞ田舎のおばあちゃんのあんこ餅

 

と叫びたくなるある種、夢のあんこ餅に出会った。

 

まずは見ていただきたい。

f:id:yskanuma:20210930172534j:plain

f:id:yskanuma:20210930172433j:plain

 

つき立ての餅、その上から見事なテカリのつぶあんがたっぷり。

 

餅好きの私にとっては、究極のあんこ餅に出会った気分。

 

あんこが苦手な人には「毒」かもしれない(笑)。

 

関東の別荘地、栃木・那須高原にある庄屋の屋敷のような古民家が今回の舞台。

 

那須に来るたびに入ってみたかった店。

 

「おこわ・もち 茶屋卯三郎(うさぶろう)」のベタな看板。

f:id:yskanuma:20210930172818j:plain

 

午前11時20分(オープンは11時半)に到着したら、すでに20~30人ほど並んでいた。

f:id:yskanuma:20210930172934j:plain

f:id:yskanuma:20210930172907j:plain

 

しばらく待たされて、名前を呼ばれてから、くぐり戸から中に入ると、何だかタイムスリップして、庄屋の屋敷にでもまぎれこんだ気分に陥ってしまった。

 

大きな囲炉裏、広い板の間に圧倒される。

 

ここは江戸時代の茶屋か

f:id:yskanuma:20210930173008j:plain

 

あんこの好き者としては、メニューの隅にあった単品餅(あんこ、きなこ、納豆、ずんだなど7種類)に目が吸い込まれた。

f:id:yskanuma:20210930173057j:plain

 

1個200円(税込み)。1個のボリュームがかなりありそう。

 

胃袋が一つしかないのが残念無念。

 

注文したのはあんこ、ずんだ、きなこの3種類。

 

もう一品、特大サイズの「卯三郎まんじゅう」(同200円)も追加した。

 

😎ちょっと箸休め・・・「茶屋卯三郎」は創業が2002年(平成14年)。那須塩原市の呉服屋「鈴屋」が古民家を移築してチャレンジした料理屋兼甘味処。口コミで人気が広がり、今では那須で行列の出る店になっている。

 

【本日のセンター】

つぶあんたっぷりのあんこ餅

 

ほんのりと湯気を立てて3種類の餅が「ようおいでくださった」と鎮座していた。

f:id:yskanuma:20210930173251j:plain

 

なぜか後光がさしている(気がした)。中心はあんこ餅

 

田舎のおばあちゃん(すご腕)が作ったような、手の匂いのするあんこ餅で、メニューの表記は「あんころ餅」となっていたが、これは正しくはあんこ餅だと思う。

f:id:yskanuma:20210930173455j:plain

 

つぶあん北海道産小豆を使用、スタッフ(おばさんが多い)が板場でコトコト炊いた自家製あんこで、口の中で小豆の風味がストレートに広がる。

 

作っているのがおばあちゃんかどうかは確認できなかった。

 

渋抜きは抑え気味で、多分一回くらいかな。

 

柔らかなつぶつぶ感がたまらない。

f:id:yskanuma:20210930173536j:plain

 

かなり甘め。こってり具合から見て、砂糖は多分上白糖だと思う。塩気がほんのりと隠れているのがいい塩梅。

 

忙しく仕切っていた店長によると、餅は地場の契約農家の有機もち米を搗(つ)いているそうで、農薬も添加物もゼロとか。

f:id:yskanuma:20210930173643j:plain

f:id:yskanuma:20210930173708j:plain

 

伸びやかさとコシのしっかり度、鮮度・・・自然な甘みすら感じる。

 

このブログ用に写真を撮っているうちに微妙に固くなっていくのがわかった。これは上質な、こだわりの強いオーガニック餅だと思う。

 

【本日のサブ】

ずんだ餅

・きな粉餅

・卯三郎まんじゅう

 

・地場の枝豆をついたずんだ餡は塩気が強い。あんこほどのボリューム感はないが、宮城・山形・岩手のずんだと同じような素朴な美味さが光る。ぜいたくを言えば、ずんだ餡の量が少し多いともっといいのだが、ずんだ好きにはおすすめ。

f:id:yskanuma:20210930173819j:plain

 

・きな粉餅も塩気が強め。国産のきな粉は香ばしくて、餅の美味さをもっとも引き出していたと思う。

f:id:yskanuma:20210930173858j:plain

 

・卯三郎まんじゅうは規格外の大きさ(左右約10センチ、厚さ約6センチ)で、いわゆる炭酸まんじゅう(重曹で膨らませている)。皮が2種類。黒糖と三温糖があり、黒糖が売り切れていたので、三温糖にした。

f:id:yskanuma:20210930174412j:plain

 

ふかふかした皮はもっちりしていて、中は自家製つぶしあん。田舎のまんじゅうそのもの。皮には少し酢(日持ちするとか)を加えているとか。

f:id:yskanuma:20210930174249j:plain

 

つぶしあんは甘すぎない。塩気もほんのり。小豆の素朴な風味が口の中で広がる感覚はボリュームといい味わいといい、いい意味で田舎の超B級まんじゅうだと思う。

 

すべて食べ終えたら、腹回りが5センチほど膨らんだ気分に陥った。

 

「卯三郎茶屋」

所在地 栃木・那須郡那須町高久乙2727-344

 

             f:id:yskanuma:20210930174558j:plain



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻の羊羹「ひしや」再開していた❣

 

あんこの神様はやっぱりいる?

 

私にとっての最近のビッグあんこニュース。

f:id:yskanuma:20210922140330j:plain

 

約6年かけて修復した日光東照宮陽明門(12月から再修復とか)を見た帰り、渋滞のクルマの中から、ふと左手を見ると、まさかの光景が佇んでいた。

 

閉店したはずの「ひしや」が開いていた。

 

日光に来るたびに「本日休店中です」の木札の前で、「休店ではなく廃業したんだな」とほとんどあきらめていた店。

f:id:yskanuma:20210922135416j:plain

 

何しろこの期間約10年! 「休店」の域をはるかに超えている。

 

 

私にとっては本物の幻の羊羹・・・になりかけていた。

 

これがその幻の煉り羊羹。

f:id:yskanuma:20210922135920j:plain

 

あわててファミレスの駐車場に何とかクルマを止めて、駆け足で戻り、再開を確認してから、ふうーとひと呼吸してから飛び込み、1棹ゲットした(興奮しすぎ)。

f:id:yskanuma:20210922140608j:plain

f:id:yskanuma:20210922140819j:plain

 

お代は昔のまま1棹1500円(税別)。

 

店内は依然と変わらない。タイムスリップ感。

f:id:yskanuma:20210922141235j:plain

 

マスク姿の4代目の女将さんがいて、少しだけ取材することができた。

 

10年ではなく、休んでいた期間は「いろいろあって8年です」

 

いろいろの中には4代目のご病気(息子さんの5代目も)があったようだ。

 

まずは8年ぶりのその幻の羊羹を見ていただきたい。

f:id:yskanuma:20210922141726j:plain

f:id:yskanuma:20210922141749j:plain

f:id:yskanuma:20210922141848j:plain

 

昔と同じ、竹皮包み。

 

竹皮を取りにかかる。

 

表面がまだら状にうっすらと糖化していて(わざと3日ほどそのまま置いておいたので)、小倉色の美しい煉り羊羹が横たわっていた。

f:id:yskanuma:20210922142011j:plain

 

窓からの光を吸い取って、それが奥の方で凝縮している、変な例えだが、そう言いたくなる感覚。横から見ると、表面に近い部分にかすかに透明感がある。

 

「これだこれだ」

 

学生時代に片想いだったお方に偶然再会した気分、かな。

 

1本(1棹)の長さは180ミリ×55ミリ×20ミリ。重さは約280グラム。

f:id:yskanuma:20210922142044j:plain

f:id:yskanuma:20210922142305j:plain

 

さて、味わいは?

 

表面のかすかなじゃりじゃり感と煉りの部分のきれいなコクと余韻が絶妙につながっている。

f:id:yskanuma:20210922142417j:plain

f:id:yskanuma:20210922142444j:plain

 

甘すぎず、しつこすぎず。

 

繊細な手の匂いのする、きれいな味わい。以前のまま。

 

上質で、雑味がない。

f:id:yskanuma:20210922142531j:plain

 

「ひしや」の創業は明治元年(1868年)。現在5代目が継いでいる。代々の手作業を守り続け、煉り羊羹一本勝負で、凄いのは1日1釜分しか作らない(作れない)。

 

同じような作り方(1日1釜)をしている東京・吉祥寺「小ざさ(おざさ)」が1釜(約150本分)と言われているので、ここも同じくらいの本数ではないか。

 

ゆえに休店前には午前中で「本日分の販売は終了しました」の木札がさがることも多かった。

 

羊羹職人が手作業で精魂詰めて作ると、このくらいの本数(棹数)になるのかもしれない。

 

今、それが目の前にある。

f:id:yskanuma:20210922142748j:plain

 

材料は小豆と砂糖と寒天のみ。小豆は北海道産、砂糖は「上白糖です」。寒天は聞き逃した。

 

昔、東京・三鷹に住んでいた時に早朝から並んで、「小ざさ」の煉り羊羹をゲットしたことがある。

 

舌の記憶では、その味とほとんど同じ味わい。

 

想像だが、惜しまれながら廃業した本郷三丁目にあった加賀藩御用達だった「藤むら羊羹」の煉り羊羹もこんな味わいだったのではないか? (私が行ったときにはすでに廃業後だった。グヤジイ)

 

さて、再び「ひしや」の煉り羊羹。

 

そのまま竹皮包みしていることもあり、賞味期限がフツーの煉り羊羹よりも短く、約10日間。

 

なので、約半分だけ残して、そのぎりぎり10日目にどう変化しているか、味わうことにした。

 

〈10日後の変化〉

 ごらんの通り、さらに糖化が進んでいた。

f:id:yskanuma:20210922143225j:plain

f:id:yskanuma:20210922143109j:plain

 

包丁で切ると、糖化の厚みは約0.6ミリ~1ミリくらい。

 

シーラカンスに出会ったような、ある種不思議な、ときめき。

 

だが、中の煉り本体はほとんど同じだった。あえていうと、コクと深味がほんの少し増した感じかな。

f:id:yskanuma:20210922143312j:plain

f:id:yskanuma:20210922143400j:plain

 

変わらない雑味のなさが素晴らしい。

 

表面のじゃりじゃりした歯触りと柔らかな煉りが絶妙にコラボしている。

f:id:yskanuma:20210922143443j:plain

 

目をつむると、きれいな小豆の呉(中の部分)がいい羊羹職人の手で見事な蝶に変身しているイメージが脳内によぎった(ホントです)。

 

竹皮に包まれた煉り羊羹は全国にもないわけではないが、ここまでピュアに手作りこだわった煉り羊羹はやはり希少だと思う。

 

8年ぶりの再開を素直に喜びたい。

 

「ひしや羊羹本舗」

所在地 栃木・日光市上鉢石町1040

最寄り駅 日光駅東武日光線JR日光線)から歩約20分

 

               f:id:yskanuma:20210922141510j:plain



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻の羊羹「ひしや」再開していた❣

 

あんこの神様はやっぱりいる?

 

私にとっての最近のビッグあんこニュース。

f:id:yskanuma:20210922140330j:plain

 

約6年かけて修復した日光東照宮陽明門(12月から再修復とか)を見た帰り、渋滞のクルマの中から、ふと左手を見ると、まさかの光景が佇んでいた。

 

閉店したはずの「ひしや」が開いていた。

 

日光に来るたびに「本日休店です」の木札の前で、「休店ではなく廃業したんだな」とほとんどあきらめていた店。

f:id:yskanuma:20210922135416j:plain

 

何しろこの期間約10年! 「休店」の域をはるかに超えている。

 

 

私にとっては本物の幻の羊羹・・・になりかけていた。

 

これがその幻の煉り羊羹。

f:id:yskanuma:20210922135920j:plain

 

あわててファミレスの駐車場に何とかクルマを止めて、駆け足で戻り、再開を確認してから、ふうーとひと呼吸してから飛び込み、1棹ゲットした(興奮しすぎ)。

f:id:yskanuma:20210922140608j:plain

f:id:yskanuma:20210922140819j:plain

 

お代は昔のまま1棹1500円(税別)。

 

店内は以前と変わらない。タイムスリップ感。

f:id:yskanuma:20210922141235j:plain

 

マスク姿の4代目の女将さんがいて、少しだけ取材することができた。

 

10年ではなく、休んでいた期間は「いろいろあって8年です」

 

いろいろの中には4代目のご病気(息子さんの5代目も)があったようだ。

 

まずは8年ぶりのその幻の羊羹を見ていただきたい。

f:id:yskanuma:20210922141726j:plain

f:id:yskanuma:20210922141749j:plain

f:id:yskanuma:20210922141848j:plain

 

昔と同じ、竹皮包み。

 

竹皮を取りにかかる。

 

表面がまだら状にうっすらと糖化していて(わざと3日ほどそのまま置いておいたので)、小倉色の美しい煉り羊羹が横たわっていた。

f:id:yskanuma:20210922142011j:plain

 

窓からの光を吸い取って、それが奥の方で凝縮している、変な例えだが、そう言いたくなる感覚。横から見ると、表面に近い部分にかすかに透明感がある。

 

「これだこれだ」

 

学生時代に片想いだったお方に偶然再会した気分、かな。

 

1本(1棹)の長さは180ミリ×55ミリ×20ミリ。重さは約280グラム。

f:id:yskanuma:20210922142044j:plain

f:id:yskanuma:20210922142305j:plain

 

さて、味わいは?

 

表面のかすかなじゃりじゃり感と煉りの部分のきれいなコクと余韻が絶妙につながっている。

f:id:yskanuma:20210922142417j:plain

f:id:yskanuma:20210922142444j:plain

 

甘すぎず、しつこすぎず。

 

繊細な手の匂いのする、きれいな味わい。以前のまま。

 

上質で、雑味がない。

f:id:yskanuma:20210922142531j:plain

 

「ひしや」の創業は明治元年(1868年)。現在5代目が継いでいる。代々の手作業を守り続け、煉り羊羹一本勝負で、凄いのは1日1釜分しか作らない(作れない)。

 

同じような作り方(1日1釜)をしている東京・吉祥寺「小ざさ(おざさ)」が1釜(約150本分)と言われているので、ここも同じくらいの本数ではないか。

 

ゆえに休店前には午前中で「本日分の販売は終了しました」の木札がさがることも多かった。

 

羊羹職人が手作業で精魂詰めて作ると、このくらいの本数(棹数)になるのかもしれない。

 

今、それが目の前にある。

f:id:yskanuma:20210922142748j:plain

 

材料は小豆と砂糖と寒天のみ。小豆は北海道産、砂糖は「上白糖です」。寒天は聞き逃した。

 

昔、東京・三鷹に住んでいた時に早朝から並んで、「小ざさ」の煉り羊羹をゲットしたことがある。

 

舌の記憶では、その味とほとんど同じ味わい。

 

想像だが、惜しまれながら廃業した本郷三丁目にあった加賀藩御用達だった「藤むら羊羹」の煉り羊羹もこんな味わいだったのではないか? (私が行ったときにはすでに廃業後だった。グヤジイ)

 

さて、再び「ひしや」の煉り羊羹。

 

そのまま竹皮包みしていることもあり、賞味期限がフツーの煉り羊羹よりも短く、約10日間。

 

なので、約半分だけ残して、そのぎりぎり10日目にどう変化しているか、味わうことにした。

 

〈10日後の変化〉

 ごらんの通り、さらに糖化が進んでいた。

f:id:yskanuma:20210922143225j:plain

f:id:yskanuma:20210922143109j:plain

 

包丁で切ると、糖化の厚みは約0.6ミリ~1ミリくらい。

 

シーラカンスの出会ったような、ある種不思議な、ときめき。

 

だが、中の煉り本体はほとんど同じだった。あえていうと、コクと深味がほんの少し増した感じかな。

f:id:yskanuma:20210922143312j:plain

f:id:yskanuma:20210922143400j:plain

 

変わらない雑味のなさが素晴らしい。

 

表面のじゃりじゃりした歯触りと柔らかな煉りが絶妙にコラボしている。

f:id:yskanuma:20210922143443j:plain

 

目をつむると、きれいな小豆の呉(中の部分)がいい羊羹職人の手で見事な蝶に変身しているイメージが脳内によぎった(ホントです)。

 

竹皮に包まれた煉り羊羹は全国にもないわけではないが、ここまでピュアに手作りこだわった煉り羊羹はやはり希少だと思う。

 

8年ぶりの再開を素直に喜びたい。

 

「ひしや羊羹本舗」

所在地 栃木・日光市上鉢石町1040

最寄り駅 日光駅東武日光線JR日光線)から歩約20分

 

               f:id:yskanuma:20210922141510j:plain



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パンと和菓子が合体「奇跡のあんぱん群」

 

編集長「ふふふ今回は特にすごいぞ。北関東のパン王国・那須で出会った本格的ベーカリーのあんぱん、ビックリだったよ。あんぱんだけで6種類~8種類も作っている。それもオリジナル」

f:id:yskanuma:20210916145605j:plain

 

あん子「バレてます(笑)、『パン工房ドリーム』でしょ。パン好きなら知ってますよ。天然酵母のパンやプレミアム食パンなど、近くに御用邸もあり、皇室関係にもファンがいるって話よ」

 

編集長「『パン香房ベル・フルール』とかね。『ペニーレイン』も有名だけど。その他にもいいパン屋さんが多い。でも、ことあんぱんにかけては、この『ドリーム』が凄すぎると思うな。那須街道沿いに派手な『全国1位のパン屋さん』の看板に好奇心がむくむく。正直に言うと、この手の宣伝は苦手だな、と半信半疑で細い道を500メートルほど奥へと入っていったら、あったんだよ、夢の世界が(笑)」

f:id:yskanuma:20210916150354j:plain

f:id:yskanuma:20210916150315j:plain

 

あん子「前口上はそのくらいにして、早く夢のあんぱんがどんなものか、先に行ってくださいな。今回は4種類、選んだんでしょ?」

 

編集長「わかったよ、ではアンビリーバボーなあんぱん群の中から選んだ4種類、花道から登場してもらうことにしよう」

 

【本日のセンター】

はんなり和菓子あんぱん(1本 税込み980円)

那須あんぱん(1個 同350円)

四角いあんぱん「未来」(同 260円)

 

今回は一つ選ぶのは無理と判断。なので、この三つを変則的にセンターに置くことに致しました。

f:id:yskanuma:20210916150603j:plain

f:id:yskanuma:20210916150957j:plain

 

まずは「はんなり和菓子あんぱん」。大きな長方形でとてもあんぱんには見えない。175ミリ×90ミリ×厚さは40ミリ。重さは約460グラム。こんがりきつね色の焼き色、アーモンドがちょこんと3個。ほお~が三つほど。

f:id:yskanuma:20210916151032j:plain

f:id:yskanuma:20210916151122j:plain

f:id:yskanuma:20210916151223j:plain

 

レンジで20秒ほど温める。焼き立てに近い感触になると思う。切ると、中からつぶあんと半月状の栗が現れた。何というチャレンジ、従来の発想ではない。

f:id:yskanuma:20210916151334j:plain

 

確かにパンと和菓子のコラボ。

f:id:yskanuma:20210916151409j:plain

 

北海道産小麦を使ったパンはやや固めで香ばしい。中のあんこが素晴らしい。北海道十勝産小豆を使用。さらに取材したら、わざわざ京都の製餡所から特注で取り寄せているとか。

f:id:yskanuma:20210916151457j:plain

 

「はんなり」の意味がわかった。糖度は45度(他のあんぱんもほぼ同じ糖度)で、甘さは抑え気味。好みにもよるが、つまり絶妙な甘さ。小豆の風味がきれい。

 

ちょこんと乗ったアーモンドが小さなアクセントになっていて、芸が細かい。

 

続いて「新那須あんぱん」(下の写真右側、左は四角いあんぱん未来)。

f:id:yskanuma:20210916151607j:plain

f:id:yskanuma:20210916151851j:plain

 

これは実に不思議なあんぱんで、淡いきつね色の焼き色、メープルの香りが味わいを深めている。

f:id:yskanuma:20210916152045j:plain

 

パン生地はふわり感としっとり感が融合していて、中のあんこがすごい。十勝産大納言小豆を使用、とろりとした鹿の子のよう。食べると、抑えられた甘さと蜜煮された大納言のふっくらした風味がふわりと広がる。

f:id:yskanuma:20210916152108j:plain

f:id:yskanuma:20210916152229j:plain

 

絶妙という言葉がぴったりくる美味さで、パンと和菓子の見事な恋愛と言いたくなる。

 

四角いあんぱん「未来」は形といい、白っぽい焼き色といい、中のやわらく炊かれたあんこ(小豆あんとこしあんブレンド)が素晴らしい。それが、これでもかとぎっしり。

f:id:yskanuma:20210916152311j:plain

f:id:yskanuma:20210916152346j:plain

 

確かに未来を感じさせる、進化系のあんぱんかもしれない。

 

しっとりとしたパン生地、つぶあんのボリューム・・・コスパ的にも私的にはこれが一番来た。初めて体験する食感。ねっとり感とほどよい甘さ。

f:id:yskanuma:20210916153057j:plain

 

あんぱんを超えたあんぱん。

 

あんこが自家製だったら、もっといいのだが、こういうユニークな試みもこのレベルまで来ると、脱帽するしかない。パン王国ならではのありえないチャレンジだと思う。

 

「パン工房ドリーム」の創業は1996年(平成8年)。今回初めて「全国一」の理由を聞いたら「お取り寄せパン部門でずっと1位を取っているんですよ」とか。

 

今回は番外にした「元祖那須あんぱん」(下の写真)は創業当時からのもの。つぶあんと栗のあんぱん。へそにはクルミ。1個330円(税込み)。これが一番、見慣れたあんぱんに近い。他のパンも含めて、全体的には強気の価格設定だが、満足感が十分にあると思う。

f:id:yskanuma:20210916153420j:plain

 

製法などは「企業秘密」で踏み込めなかった(当然ですが)。

 

パン王国・那須はホント奥が深い。

 

今回はご紹介できなかったが「20歳のあんぱん」とか「60歳のあんぱん」などもある。意味不明だが(笑)。

 

こういう遊び心もある本格的なパン屋さんが林の奥に存在していること。コロナ禍を忘れさせてくれる、至福のひとときだった。

 

個人的には東京・浅草の「あんですMATOBA」よりも驚いた。

 

ドリームとはベタだが、よくぞ付けたり。

 

・パン工房ドリーム

所在地 栃木・那須郡那須町湯本460-1

 

 

              f:id:yskanuma:20210916150756j:plain