編集長「関東も梅雨入りでうっとおしいね。で、今回は暑気払い。とってもレアな水ようかんを見つけたよ。あん子くんも驚くぞ」
あん子「編集長の方がうっとおしいわよ。4種類の水ようかんね。和菓子屋さんでタイプの違う水ようかんを手作りしてるのは確かに珍しいわね」
編集長「水ようかん4兄弟、いや4姉妹とネーミングしたくなるよ。北海道十勝産小豆が2種類、こしあんと小倉あん。それに北海道産手亡(てぼう豆)。面白いのハーフ&ハーフ(2色)で、水ようかん好きの私も初めて見る代物だよ」
あん子「竹皮の箱入りというのも凝ってるわね。もっとも箱代がプラスされてるようだけど(笑)」
編集長「北関東にこんな老舗があったことに実は驚いてるんだ。創業が昭和初期。現在3代目。栃木・小山周辺では知られた店だった。特に生どら焼きが人気で、和菓子ばかりでなく洋菓子にも力を入れているんだ。なので、正確には和洋菓子屋さん」
あん子「早く店名を教えてよ。じれったいわ」
編集長「それは後で(笑)。面白いのは全体的に塩気が強いこと。しかも絶妙な塩気で、ぷるるんとした舌触りと口の中でスーッと溶ける感触がとてもいい。レベルの高さを否応なく感じさせられる。とにかくローカルを超えてると思うよ。京都とは違う上質・・・こういう店と出会えてうれしいよ、ううう」
あん子「泣かない泣かない。わざとらしい(笑)。ねえ、早く珍しい4タイプの水ようかんの食レポしてよ。さわやかに、ね。イッツ・ショータイム!」
【今週のセンター】
小倉水ようかんvs2色水ようかん
今回購入したのは竹皮箱入り「涼菓選」(4種類6個詰)。オンザロックならぬオンザ麦茶を用意し、小倉と2色を食べる前に定番の水ようかんを食べてみた。
まず岩塩のような塩気が口の中でほわわんと広がり、なめらかな舌ざわりに「ほお~」となる。色も美しい。
こしあんと寒天の配合が見事で、「作り方は独自の製法」と秘伝の匂いがする。3代目は忙しくて直接話を聞けなかったが、確かに塩気となめらかさが上質。羽衣のような余韻がしばらく続く。
私的にはこれは塩水ようかん、と言いたくなる。
で、センターにした小倉水ようかんへ。
底の方に大粒の小豆がひそんでいた。
塩気と小豆のつぶつぶ感が絶妙な素朴で、定番の水ようかんの洗練とはひと味違った。
小豆好きにはたまらない。
小豆の濃い風味が舌の上で踊るよう。甘さも濃い。
使用している砂糖は数種類を使い分けているようだが、これは多分、白ザラメ。
ハーフ&ハーフ「2色水ようかん」は定番の洗練された水ようかんと手亡の白が斜め半分ずつでアートな水ようかんに仕上がっている。
洋菓子職人でもある3代目のユニークな発想だと思う。
手亡(てぼう)はえぐみがなくきれいな味わいで、食べ進むと、皮のままの手亡豆が4~5粒ほど入っていた。水ようかんとのコラボ、この凝り方。
なめらかな洗練と2色の塩気。
それぞれが主張し合わずに融合している。
きれいな余韻。
手亡豆の存在感が少し勝っている気がする。
2種類を食べてみて、個人的な好みを言えば小倉だが、個性が強い分、好き嫌いがあるかもしれない。
その分、ハーフ&ハーフ(2色)の方が飽きが来ないかも。
もちろん体調などにもよるが、どちらもレベルが高いので、これはこれで十二分に楽しめるはずだ。
【今週のサブ】
水ようかんと手亡水ようかん
塩気が強いのがここの特徴だが、水ようかんのみずみずしさは筆舌に尽くしがたい。
とにかくスーッと溶けていく、雑味のない余韻がとてもいい。
名店の水ようかんに劣らないレベルと技術力だと思う。それにオリジナリティー。
白い「手亡水ようかん」は存在自体がレアだと思う。
手亡豆(てぼうまめ)の雑味を極力抑えているので、コアなファンには物足りないかもしれない。
なめらかさと柔らかな豆の食感。
広がる絶妙な塩気。冷たい美味。
コロナ禍とうっとおしい梅雨の時期に、まさかの水ようかん4種類を堪能したこと。
全国的には多分無名だが、こんなにいい仕事をしている店が北関東にあること。
あんこの神様はローカルにも確かにいる。
・今回の購入
竹皮箱入り「涼菓選」(4種類 6個入り 税込み1571円)
・山本屋菓子店
所在地 栃木・小山市下石塚352-1