週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

感涙のあんこ😍新潟「さわ山」の驚き

 

約4年ぶりに餅菓子の黄金ロード新潟へ。あんこ旅「越後」編とシャレてみたい。

 

トップバッターは、今回の旅の中でも最も驚かされた朝ナマの餅菓子店「さわ山」の「大ふく」(大福餅)を取り上げたい。

新潟には大福類や笹だんごなど餅菓子の美味い店は多いが、その中でも口の肥えた地元客が早朝から並ぶ店、「さわ山」の名前を耳にしたのは数年前。

 

「あんこの美味さがとにかく一線を超えているよ(笑)」とあん友の一人が教えてくれた。

 

今回、越後へ行こうと思い立った動機の一つでもある。

 

ちら見せ、で申し訳ないが、まずは柔らかくて極端に薄い餅を何とか包丁で切った断面を見ていただきたい。

無添加手づくりで「賞味期限はその日中」なので、店に行かないと買えない。

 

それも午前中で売り切れになることも多いとか。

 

なので、午前9時過ぎに5~6人ほどの末尾に並んで、ゲットした。

友人の情報が本当か、ここは冷静に味わいたい。

 

★ゲットしたキラ星

 大ふく 145円×2個

 草もち 145円

 笹もち 145円

 笹だんご(10個)1800円

 ※すべて税込み価格です。

 

【センター】

大ふく:薄い餅につぶあんの美味さに絶句

 

豆大福好きの私にとって、大福(地元では大ふくまんじゅうと呼んでいた)は二番目の存在だが、これは違った。

 

美味い大福の鉄則、朝ナマ(朝つくったものをその日のうちに食べる)なので、宿泊先のビジネスホテルで食べることにした。

サイズは約50ミリ×50ミリ。ホテルなので重さが測れないのが残念だが、手に持つと柔らかなずっしり感がある。

 

餅は新潟産こがねもちを蒸かした杵つき餅。

 

うっすらと餅粉がかかり、薄い餅を透かすようにあんこが「おいで」とささやいた。うーむ。

 

〇実食タイム

きれいな餅の薄さとぎっしりと詰まったつぶあんに目が釘付けになった。

赤紫色の美しいつぶあん粒々がずみずしく生きていて、がぶりと口に入れたとたん、小豆の妖精がわっと押し寄せてきた。そんな感覚。

 

粒々のふっくらとした柔らかさが半端ない。

あるいはあんこのビッグバン、とでも言いたくなるほど、小豆のいい風味が爆発的に広がってくるような、とでも言いたくなるような。表現が美味さに追いつかない。

 

甘さが絶妙。甘すぎず、すっきりとした味わいだが、いい余韻が口中から消えるのに時間がかかる。

餅があまりに薄いので、妙な表現になるが、特上のあんこをそのまま食べているような、不思議な感覚に陥った。

 

すごいあんこ。

 

毎日毎日、銅釜であんこ炊きしているようだ。

 

女将さんによると、小豆は北海道産、砂糖は上白糖。

 

餅も含めて、製法は代々続く、昔ながらのやり方だそう。

 

私がこれまで食べた大福類の中でも、このあんこは美味度ベスト5に入る(個人的な感想です)。

 

感動の波におぼれそうになってしまったよ(ホントです)。

 

2個ペロリ。

 

●あんヒストリー

創業は大正時代初期。現在4代目。餅屋として、初代澤山兵二郎は一日一石の餅を手で搗き、リヤカーで運んだという。太平洋戦争で休業をやむなくされたが、戦後、2代目が初代がつくっていた「大福餅」(当時はまんじゅうと言っていたようだ)を引き継ぎ、さらに工夫を加え、現在のものに整えていった。

 

【サイドは?】

草もち:こしあんのピュアななめらかさ

 

表面にきな粉が散っていて、よもぎのいい香りが同時に来る。

中はこしあん(自家製)で、きれいな赤紫色。見た目も味わいもレベルを超えていると思う。

サイズは大ふくとほとんど同じ。

 

このこしあんも粒子を感じるようななめらかさ。

 

予想以上の味わいで、驚くほかはない。

 

笹もち:笹のいい香りがしんこ餅(うるち米の餅)とこしあんを引き立てている、この地方独特の餅菓子。

大ふくや草もちほどの感動はなかったが、フツーに美味しい。

 

笹だんご:こちらは消費期限が3日ほど。ホテルで2個だけ味わった。

 

無添加づくりで、笹(3枚)の香りとよもぎ餅(米粉餅)が素朴で、昔から私の好きなこの地方独自のだんご。

中は素朴度の高いつぶあん

 

つくり方が丁寧で、よもぎ餅とつぶあんのバランスがとてもいい。

 

餅菓子店「さわ山」

所在地 新潟市中央区夕栄町4513

最寄り駅 JR新潟駅から約2キロほど

     

          



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長命寺桜もち⇒立石「朝生菓子」トリオ

 

桜のシーズン。あんこワールドでは「桜餅」の季節ということになる。

 

なので、今回は久しぶりに桜餅の元祖、東京・向島「山本や」の長命寺桜もちを味わいながら、大好きな「せんべろ」地区(立石)に足を延ばし、地元で愛される「和菓子 ひらた」の桜餅・草餅・豆大福をゲットし、食べ比べをしてみた。

歴史的には「山本や」が創業300年超享保2年=1717年)、「ひらた」は創業90年超(昭和5年頃=1930年頃)。11代目と4代目。

「山本や」は桜もちひと筋。「ひらた」は桜餅(季節限定)だけでなく、豆大福や草餅、どら焼きなど下町の和菓子屋さんらしいラインナップ。

 

なので、朝生の餅菓子トリオとさせていただいた。

 

どっちが上とか下とかはないので、どうぞ誤解なく。

 

★ゲットしたキラ星

 ①山本や

 長命寺桜もち「召し上がり」

    煎茶付き 500円

 ②ひらた

 さくら餅(季節限定) 160円

 新草餅(季節限定)160円 

 豆大福(2個入り)300円

  ※すべて税込み価格です。

 

長命寺桜もち:桜葉3枚×こしあんの絶妙

 

見た目 塩漬け桜葉(オオシマザクラ)が3枚。300年の歴史を思うと、凄みがいっそう増すが、江戸っ子を虜にした容姿と桜葉の香りについうっとり。

店内の緋毛氈(ひもうせん)に腰を下ろして味わうことにした。至福タイム。

ちょっと残念なのはコロナの影響で器は定番の杉箱ではなく、ペーパーになっていたこと。だが、これは杞憂だった。

 

「落ち着いてきたので、また杉箱を復活します」(女将さん)

 

これはファンにはうれしいニュースだと思う。

 

味わい 塩漬け桜葉をはがすか、そのまま食べるか悩むところだが、半分半分で味わうことにした。

3枚の見事な桜葉の香りが以前と同じで舌だけでなく、心まで鷲づかみにされる。

 

小麦粉ベースのかなり薄い皮は白色で、食感は柔らかすぎず、むしろさっぱりしていて、江戸の小粋を感じさせる。きりり感。

 

桜葉の香りを見事に吸い込んでいる。絶妙な塩気

 

私が初めて食べた時代から変わらない。



中の淡い赤紫色のこしあんも昔のまま。甘すぎない。ピュアで雑味がない。

 

北海道産小豆×上白糖で、今も自家製。

 

だが、「失礼します」と皮をはがしてのぞいたら、形がまん丸から円筒形に変わっていた。

この形も悪くない。

 

遠い江戸から続く、上質で粋な味わいにしばし時を忘れてしまった。

 

②ひらた:さくら餅×草餅×豆大福

 

見た目 さくら餅(写真㊨)はボリュームがある。塩漬け桜葉は1枚。

皮は見るからにもっちり感があり、桜色がやや濃い。

 

味わい 皮が長命寺よりもやや厚め。中は濃いこしあんで、量もたっぷり。

 

塩気がほんのり。

ディープな下町のフツーに美味い素朴なさくら餅だと思う。

 

センベロで飲んだ後に食べたら、美味さが倍増しそうな気がする。

 

草餅は「新草餅」と表記しているだけあって、よもぎの香りがやや強め。

中はねっとりとした柔らかなつぶあん素朴な粒々感

 

たまたまなのか、塩気をほとんど感じない。



よもぎ色の濃い、もっちり生地とのバランスが悪くない。

 

江戸の一つの価値基準、粋と野暮で言えば、野暮に近い草餅だと思うが、私的には野暮も好みのうちなので、好感度が高い。

 

豆大福は餅粉がたっぷり。赤えんどう豆の量もほど良い。

中はたっぷりのつぶあんで、草餅とほとんど同じ。

 

餅は糯米から蒸かして搗いているようで、ゲットしてから6時間ほど経過していたので、やや固くなり始めていた。本物感。

なので、1個はそのまま味わい、もう1個はオーブンで焼いてみた。

焼くと香ばしさがさらに出る。

 

熱々の中から黒味のあるつぶあんがはみ出そうになり、今回はこちらの方が「うめえ」となった(個人的な感想です)。

大福類は少しくらい固くなっても、焼くと別の旨味が顔を出す。

 

この楽しみ方がまたたまらない。

 

「山本や」

所在地 東京・墨田区向島5-1-14

「ひらた」

所在地 東京・葛飾区立石1-21-2



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

豆大福&青海苔大福😎「餅屋」の感動

 

あんこ旅の醍醐味の一つは予想を超える店と出会えた時。

 

店名の「餅屋」という、シンプルの極みみたいな和菓子屋さんに惹かれて、宇都宮まで足を延ばした。

 

ハズレてもともと、期待半分で宇都宮駅からかなり離れた場所までクルマを走らせた。

 

あれっ、看板がない。店名も見えない!

シンプルなレンガ仕立ての店構えに白い暖簾がかかり、臼と杵のイラストが小さく、控えめに描かれていた。

よく見ると、店名の小さなプレートがかかっていた。何という控えめさ。

 

意を決して入ってみると、木枠の渋いケースがいくつか見え、そこに見るからに手づくり感のある大福類が数種類収まっていた。

いちご大福豆大福コーヒー大福海苔大福(のりだいふくって珍しい)などなど。

 

まだ午前中なのに売り切れも出ていた。

 

あんこころがくすぐられた。

 

明るい店内と和モダンな世界

 

奥に女将さんらしきお方がいて、明るく「いらっしゃい」とこちらを見た。他にも常連らしいお客が2~3人。

 

よく見ると、横の棚にはおはぎ(3種類ほど)なども置かれている。当たりか?

 

★ゲットしたキラ星

 いちご大福 300円

 豆大福   200円

 海苔大福  300円

 草餅    200円 

  ※すべて税込みです。

 

【センターは?】

豆大福と海苔大福と草餅で迷う

 

無添加づくりなので、今日中にお召し上がりくださいね」(女将さん)

 

自宅に帰るのが夜遅くなるので、ひょっとして餅(杵つき餅)が固くなっているかもしれない。

 

その心配が当たった。餅の表面が固くなり始めていた。本物の証拠。

やむを得ず、電子レンジで20~30秒ほど温めることにした。

 

豆大福:香り立つようなつぶあん

秀逸ぞろいな中で、私がもっとも感動したのがこの豆大福だった。

サイズは大きめで、重さは約87グラム。餅粉がたっぷりとかかり、赤えんどう豆が悩ましくお顔を出している。

手で割ると、餅の伸びがしっかりとすごい。

 

〈味わい〉

搗(つ)いた餅のピュアな味とふっくらと炊かれた赤えんどう豆の塩気がとてもいい感じ。

店名に餅屋を名乗るだけのことはあるなあ、などと一人心地。

 

何よりも驚かされたのはつぶあんの美味さ。

藤紫色のオーラをまとい、しかも小豆の大きめの粒々がびっくりするほど柔らかい。

 

歯に引っかからない。

 

甘さがかなり抑えられていて、それ故に、豆本来のいい部分が口の中にわっと広がるのをそのまま感じた。春風の気配。

あずきのこだわりを知りたくなった。

 

どうやら北海道産大納言小豆を使用しているようだ。

 

砂糖は?「企業秘密です」とかわされてしまった(当然だよ)。

 

かなりのレベルのあんこ、と脱帽したくなった。

余韻の長さ。

 

私的には東京の名店に負けていない味わいだと思う。

 

素朴ではなく、洗練された豆大福。この洗練はうれしい誤算でもある。

 

海苔大福:餅に青海苔がちりばめられている

コーヒー大福などもあったが、最も驚かされたのがこの一品

大福類はかなり食べているが、青海苔というのは初めて

 

よく考えてみれば、青海苔の伸し餅もあるので、大福にあっても不思議ではない。

中はつぶあんで、豆大福と同じ洗練を感じさせるものだが、餅粉の奥に見える青海苔の淡い緑色の点々と鼻腔にくる海の香りに慣れるまでちょっとだけ時間がかかった。

 

ひょっとしてミスマッチではないか? とさえ思ったが。これは 間違いでした(反省)。

 

〈味わい〉

海の香りが思ったほどイヤではない。

 

春の潮風が柔らなか餅とともに口中からいずこかへと抜けていく。そんな感じ。

つぶあんの美味さがすべてを丸く収めて、「こういう大福もアリだな」と次第に新しい感動を連れてくることに、舌の奥まで洗われる。

 

大福の世界が少し広がったような。

 

ほんのりと漂う塩気も心地よい。

 

【サイドは草餅】

よもぎの香りがほどよく、中のつぶあん上質な美味さとぴったし合っていると思う。

重さは84グラムほどで、草餅としてはやや大きめ。

 

手でちぎってみると、伸びのある草餅と甘さ控えめのつぶあん「早く食べてね」と誘ってくるようで、春先のたまらない感覚

草餅好きの心までとろかすような、深くてきれいなマリアージュだと思う。

 

●あんヒストリー

創業は大正5年(1916年)と百年を超える歴史を持つ。もともとは市内の大通りにあり、水害などで清住町通りに移転、リニューアルオープンしている。伝統と新しさが同居していて、作り方は代々相伝されているとか。

 

「餅屋」

所在地 栃木・宇都宮市松原3-8-38

 

            

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日曜増刊号:皮と餡のミラクル「和糖饅頭」

 

東京・三田に暖簾を下げる「秋色庵大坂家」(しゅうしきあんおおさかや)は元禄時代創業という長い歴史を背景に、日本の和菓子界に渋い光を放っている。

ルーツは店名でおわかりのように土偏の「大坂」(大阪ではない)で、秋色最中(三色最中)が看板商品の一つだが、茶席などにも使われる上生菓子にも定評がある。

 

と書いたところで、敷居の高そうなこの老舗の、敷居の低そうな饅頭「和糖饅頭(わとうまんじゅう)」がワタクシ的には「超」が付くほど好きな饅頭です。

なので、今回俎上に載せるのは、この和糖饅頭です。

 

★今回ゲットしたキラ星

 和糖饅頭 1個250円

 秋色最中(大型3種類) 1400円

  ※すべて税込みです。

 

【センターは?】和糖饅頭:ただの茶まんじゅうではない

 

皮に和糖(和三盆の前の段階の希少な砂糖)を使用し、一見すると、フツーの温泉饅頭のようだが、口に入れた瞬間、ふわりと別世界に連れていかれそうになる。ホントそんな感じです。なので、センターに(個人的な好みです)。

 

●サイズと外観 大きさは55ミリほどの饅頭形。重さは約52グラム。

 

表面の見事なツヤともっちり感。職人さんの手を感じるような。

頂上にはケシの実が点々。

 

艶やかな表面張力。もっちり感。

 

●味わい 皮は薄く、あんこはごらんの通りギリギリまで詰まっていて、和三盆と黒糖のいい香りが鼻先までやってきて、「早くちぎって食べてよ」とささやく。そんな感じ。

 

裏皮の引力。

歯を立てると、穏やかで上品な歯ざわり。和糖の香り。

 

うーん、これはすごいね。

 

ワクワクしながら、中心部へ。

ぎっしりと詰まったあんここしあん×黒糖)が見るからにみずみずしい。

 

作法通りにガブリと行く。

和糖皮の求愛に応えるかのように、しっとりと濃密な大波を引き連れてくる。

 

黒糖(波照間産)と北海道産あずきのマリアージュがとてもいい。

うめえ~・・・言葉が自然に漏れそうになる。

 

1個250円は安くはないが、私的には感動がそれを上回る。

 

〈あんヒストリー〉

創業は元禄年間(1688~1704年)で、大坂から江戸・日本橋小網町に移転し⇒その後ももらい火などでさらに移転している。そのため、古文書など記録を紛失したようだが、江戸時代の名ガイドブック「江戸買物独り案内」には名店として記載されている。すごい歴史。現在19代目。もともとは「大坂家」だったが、祖先の一人が女流俳人で「秋色家」を俳号としていた関係で、店名の上に冠したようだ。

 

【サイドは?】秋色最中(3色最中):中が小倉あん(大納言)、黒糖あん㊨、栗あん㊧の3種類。皮種がパリッとしていて、とても香ばしい。

上品でやさしいあじわいが共通している。

 

3種類の中で私が最も気に入ったのが中央の小倉あん大納言小豆とこしあんがきれいに合体していて、小豆のいい風味がおだやかに広がってくる。

黒糖あんの最中は和糖饅頭でもわかるが、妙な雑味が抜けていて、それでいて黒糖の風味がふわりと広がる。上品な黒糖最中

 

栗あんは大手亡の白あんに栗の風味が伴走してくる。甘すぎず、皮種のサクサクとした風味とよく合っている。きれいな余韻も心地よい。

 

「秋色庵大坂家」

所在地 東京・港区三田3-1-9

最寄り駅 都営浅草線三田駅から歩約1~2分

 



 

 

 

 

 

 

 

ネオ和菓子の傑作😎金沢の小鳥たち

 

「旅する和菓子」編で今回取り上げたいのは金沢の老舗「清香室町」(せいかむろまち)のチャレンジングな、かわいいネオ和菓子たちです。

 

先月、新宿高島屋で開催されたイベントで「かわいらしすぎて(小さい)」ついスルーしちゃいました。失態。目利き落第、です。

最初の印象。パッケージが小鳥の文鳥(ぶんちょう)をデザイン化したもので、従来の和菓子の発想からははみ出て(飛び立って?)いました。

 

会場を2周ほどしてから、見落としはないか、あんこの名探偵ポワロにでもなった気分(勝手に、です)で、じっくり見学していると、その小鳥たちと目が合ってしまいました。

 

かわいらしい鳴き声で「おい、スルーはないだろ?」と言われた気がしました(冷や汗)。

 

「金沢文鳥(かなざわぶんちょう)という菓銘の、ネオ和菓子(創作和菓子)でした。「とまり木によりそい文鳥のクールなネーミング。

それも2個ずつ3種類。加賀紅茶ようかん、加賀棒茶ようかん、白い珈琲ようかんと表記してありました。

 

うーん、どんな味わいなんだろう?

 

近くにいたイケメンの4代目に取材しながら、なんとかゲットし、自宅の編集室に戻ってから、翌日賞味することにした。

 

★ゲットしたキラ星

 とまり木によりそい文鳥(3種6個入り)1890円

 銘菓くるみ(6個入り)594円

  ※価格はすべて税込みです。

 

【センターは?】

3種類の個性、伝統と進化のユニークな合体

 

あん子「デザインがかわいいですねえ。赤いくちばしがキュート。グッドデザイン賞をもらったのもなるほど、と思うわ」

編集長「斬新なのはパッケージだけではなくて、中身も、だよ。ベースは煉り羊羹(白いんげん豆)だけど、それぞれ加賀紅茶+ドライフルーツ(いちじく、クランベリー、ブルーベリー、レーズン)、加賀棒茶+ナッツ類(ピスタチオ、アーモンドなど)、コーヒー+能登大納言小豆。アイデアも技術もすごいね」

あん子「さすが金沢ですね。伝統と新しさが近未来を感じさせる。個人的には21世紀美術館に展示したくなります(笑)」

 

●試食タイム

金沢紅茶味:地元の食材を生かすというポリシーが感じられる。石川の茶葉でつくられた紅茶をブレンド。なので、見た目は黒っぽいがベースは白羊羹(北海道産白いんげん×白ザラ糖)。水も天然の井戸水を使用しているようだ。

包丁で切ると、ビックリの断面。イチジクや真っ赤なクランベリーなどが夜空の打ち上げ花火状態。

あん子「きれいですね。色彩が鮮やか」

 

編集長ドライフルーツの果実味がどっと押し寄せてくるね。このネオ感覚が新しい。羊羹部分も本格的でさすが金沢、というマリアージュになってる」

あん子「重さは50グラム前後で、小さくてかわいいけど、コーヒー好きの私としては有機コーヒーに合わせたいですね」

編集長「これは白ワインにも合うと思うな。それとウイスキーも試してみたい。従来の和菓子の枠を超えて、ちょいと世界に飛び立たせたくなるね。金沢の文鳥、大空へ」

 

金沢棒茶味:広い意味ではほうじ茶だけど、この金沢棒茶は風味がより濃く、口に入れた瞬間、ほとんど爆発的にほうじ茶の波が広がる感覚。それにナッツ類の合わせ技。

あん子「ピスタチオが気に入りました。棒茶の羊羹と不思議に合ってますね。ナッツの歯触りも悪くない」

編集長「僕が一番気に入ったのは加賀紅茶だけど、これも次にいいね。ナッツ好き、ピスタチオ好きにおすすめだよ。これもウイスキーに合いそう」

 

白い珈琲味:これは白煉り羊羹に能登大納言の甘納豆がきれいに浮かんでいる。かすかに珈琲の香りが来るのがコーヒー好きにはたまらないのでは? それに能登大納言のふくよかな風味が重なるように立ち上がって来る。

あん子「コーヒー好きの私としてはこれはグッと来ますね。能登大納言小豆が全体を引き締めていて、この組み合わせも素晴らしいと思うなあ」

編集長「3種類の中では一番素直な味わいで、余韻もすっきりしてるね。気品を感じる美味さだね。ネオ和菓子の世界がこれからどうなるか、楽しみでもある」

 

【サイドは?】

銘菓くるみ:くるみの形の小さな最中(もなか)。1個が約13グラムほど。

皮種まで自家製で、サクッとした歯触り。中はこしあん(自家製)。くるみがそのまま乗っていて、この組み合わせは当時としてはかなり斬新だったと思う。

創業当時からこの店の目玉商品のようで、上質なこしあん(北海道産小豆×白ザラ糖)とくるみが口の中で広がる感覚は、とても味わい深い。

 

甘すぎない、やさしい余韻。

 

〈あんヒストリー〉「清香室町」の創業は昭和21年(1946年)。現在4代目。伝統と新しさの融合を求めて、和菓子界に新しい息吹を起こす可能性もある。

 

「清香室町」本店

所在地 石川・金沢市本多町2-1-2

 

             

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頂上の餡二刀流🤩おしるこ&あんみつ

 

寒風と春の予感のなか、東京スカイツリーを仰ぎ見ながら、向島の甘味処を目指す。

 

口開け(午前11時)と同時に、あんこ好きの間で、製法のこだわりも含めて「最高級のあんみつ」の一つとも称される「深緑堂」(しんりょくどう)が今回「日曜増刊号」のターゲット。

創業が2014年(平成26年)、上野「みはし」や浅草「梅園」、「赤坂とらや茶寮」といった大看板ではなく、ご夫婦二人で小さく暖簾を下げる、私好みの甘味処

 

「早めに行かないと、売り切れちゃうよ」との辛口あん友の助言もある。

 

ちょうど店を開けたところに到着。

 

平日の早い時間だったせいか、込み具合はさほどではなく、渋めの店主が準備をしている最中だった。

 

餡ラッキーな出会い

 

品書きはごらんの通り多くはない。いい感じ。

その中から二品を選んだ。いわばあんこの二刀流。ワクワクしながら打席(カウンター席)に立つ。

 

★ゲットしたキラ星

 おしるこ(仕立てつぶあん)850円

 あんみつ    850円

    ※すべて税込みです。

 

おしるこ:究極のつぶあんか?

漆塗りのお椀(大き目)の蓋を取る。この瞬間がたまらない。

ひと目で見事なつぶあんだとわかった。

 

ふっくらと炊かれていて、しかも腹割れしていない

 

一見すると、何気ないようだが、最初のアタックで素材選びから作り方まで、熟練の技が裏側にうかがえる。

湯気と北海道産小豆のやさしい風味が同時に立ち上がって来る。

 

うーん、これはすごいね。

 

この店主、ただ者ではない。と合点した。

 

いい焼き色の餅が2枚。

 

箸休めは塩昆布。余分なものがない。

 

●味わい 甘さが抑えられていて、何よりも小豆の柔らかな粒々感と深い色(赤みが強い)、そして皮があるのかすらわからないほど、歯がすっと入る。

煮崩れがまったくない、ふっくらとあまりに柔らかい小豆に驚かされる。

 

味わいながら、あんこ炊きのこだわりに少しだけ踏み込みたくなった。

 

店主によると、砂糖は白ザラメときび糖を使っているそう。

渋抜きは風味を損なわないよう細心の注意を払いながら数回行うそうで、その加減がとても難しい。プロフェッショナルのお仕事だと思う。

 

塩もほんの少し。

 

おしるこはこれまで結構食べているが、このおしるこは私の中では5本の指に入る味わいだと思う。

 

「仕立てつぶあんと表記していることも、ワンランク上のあんこを目指しているのがわかる。

餅の焼き方といい、箸休めの塩昆布といい、侘び寂びの世界に通じる、シンプルだが、それ故にぜいたくな逸品と感じ入った。

 

あんみつ:粒子を感じるこしあん

おしるこに続いて、この店の主役「あんみつ」をいただく。

中央にこしあんが太陽のごとく輝き、その周りを白玉2個、抹茶白玉、あんず、それに赤えんどう豆が惑星状に配置され、その下には賽の目切りの寒天が控えている。

店主の自家製で、そのこだわり方。手抜きが一ミリも見えない。

 

黒蜜(沖縄産黒糖使用)が横に置かれている。

 

●味わい 白玉のもっちり感と赤えんどう豆のほのかな塩気、それに大きめの砂糖漬けあんずが手造りのいい掛け算となって、口の中でゆっくりと広がっていく。

何よりも驚きは中心部のこしあん

きれいな赤紫色で、口に入れた瞬間、あんこの粒子がそよ風となって巻き上がってくるよう(表現が追いつかない)。そんな感覚に陥ってしまった。

 

そのみずみずしさ。雑味のなさ。甘すぎない、絶妙度

なぜかクルミがちょこんと乗っていて、これがいいアクセントになっている。

 

面白いアイデア

 

寒天のキリリとした歯触りといい天草の香り。

 

黒蜜をかけると、味わいが一瞬変化し、これはこれで楽しみが広がる。

こしあんがあまりに美味いので、思い切って店主に聞いてみた。

 

竹ざると馬毛で漉しているんですよ。昔ながらの製法ですが、今も続けている店は少ないと思います」

 

こしあん造りは手間暇がかかる。なので製餡所に任せるか、器械で漉すかというのが一般的だが、ここはそうせずに、「竹ざると馬毛で」というのはとても珍しい。

他のお客が一組二組と入って来たので、残念、見ることはかなわなかったが、秘伝の作り方は秘伝のままがいい。そう思い直す(当たり前だよ)。

 

二つの究極をすっかり平らげると、このところ迷路にハマっていたわがままな心が、おだやかになっていくのがわかった。

 

スペシャルなあんこの効力に改めてかしわ手。

 

「あんみつの深緑堂」

所在地 東京・墨田区向島5-27-17

 

           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜空と月と雲😎大阪発クールな創作羊羹

 

創作羊羹の世界がおもしろい。

 

老舗のチャレンジがすでに始まっていると思う。

 

新宿高島屋で開催された「旅する和菓子」で出会った逸品を取り上げたい。

 

老舗の中でも選りすぐりの8店、それも若手(4代目が中心)が実演販売まで行うのは素晴らしいことだと思う。

 

さすが高島屋、とまずはエールを送りたい(カッコつけすぎだよ)。

 

その逸品がこちら。

菓銘も「刻~toki」と凝っている。

 

大納言あずきをベースに伝統と斬新をうまく閉じ込めた創作羊羹だと思う。

 

和菓子を未来へとつなぐ強い意志すら感じる。

 

大阪・四天王寺に本店を構える「本まつばや」

 

もうすぐ百年の歴史を迎えようとする老舗でもある。

 

★ゲットしたキラ星

刻~toki(創作羊羹) 1本864円

桜咲くら(季節限定) 2個入り756円

 ※価格は税込みです。

【センターは?】

創作羊羹「刻~toki」:夜空と月と雲の絶妙

 

見た目 シンプルなデザインの紙箱を開けると、小倉色のあずき羊羹が「ようおいでなさったなあ」とほほ笑んだ気がする。

サイズを測ったら90ミリ×53ミリ×30ミリ(厚み)。重さは100グラムほど。

 

凄みはこれから。

 

包丁で切ると、断面が現れた。

有機大納言小豆をちりばめたあずき羊羹、蜜煮した大栗、求肥・・・。それぞれ空、月、雲を表現しているようだ。

 

古典でありながら、その組み合わせで「どないでっか?」と語りかけてくるよう。

和菓子の過去と未来を意識しているのは多分間違いない。

 

味わい あずき羊羹は甘さが抑えられていて、大納言小豆(有機栽培)の食感といい風味がおだやかに広がる。

続いて蜜煮した栗のほっこり食感がその広がりを押し上げてくる。

 

掛け合わせの上質。

さらに雲(求肥餅)が柔らかなアクセントで時間の流れを忘れさせてくれる。

 

抹茶も合うと思うが、私の好みでドリップコーヒーでいただく。

 

シングルモルトウイスキーも合うのではないか。刻とtokiのワールドなチャレンジとなる日も近いかもしれないぞ? そんな想像もしたくなる。

 

あんことANKOの変換。その未来まで。

 

【セカンドは?】

桜咲くら:ひと箱に2個入っていて、こちらも凝り方が古くて新しい。

2層仕立てで、上半分は山芋を練り込んだ淡雪のような軽羹(かるかん=米粉ベース)で、上に塩漬けした桜の花びらが乗っている。

下半分は桜色の浮島(カステラ状の蒸し菓子)で、大納言あずき(備中大納言)が土をシンボリックに表現しているよう。

 

素材選びから作り手のこだわりまで、さり気ない想いと技術が組み合わさっていると思う。

桜への想いが過去から未来へとつながる。

 

と思いたくなる。

 

上品なもっちり感と塩漬け桜の香り。

 

黒文字でいただくと、その崩れ方と舌の上の溶け方がとてもいい。

春の雪⇒桜への予感。

 

淡い甘さ。軽羹と浮島と桜。備中大納言のアクセント。

 

一夜限りの合体?

 

あっという間に2個、ぺろりと胃袋に消えた。

 

●あんヒストリー

「菓匠松葉屋」として1927年(昭和2年)、大阪・四天王寺東門筋で創業。現在3代目。伝統と新しさを求めて、四季折々の和菓子づくりに挑んでいる。数々の賞を受賞。4代目のチャレンジ精神も注目されている。

 

「本まつばや」本店

所在地 大阪・天王寺区真法院町1-14