週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

旬の草餅vs「ヨモギあんころ」

 

ぼちぼちヨモギの香り立つ季節。

 

あんこ好きにとっては、草餅(ヨモギ餅)のシーズン、と胸がピコピコする季節なのである。舌先のベルも鳴る。胃袋もわめく(ほとんどビョーキだよ)。

 

あんこ旅の途中で、その名店の一つに行ってきた。

 

尾張名古屋の庶民的な老舗和菓子屋「菊里松月(きくざとしょうげつ)」の逸品がこれ。

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どうです、この堂々とした、ドヤ顔のお姿。相撲で言うと、アンコ型。

 

創業が大正12年(1923年)、現在3代目。ここの草餅は創業当時からほとんど同じ作り方をしているもので、サイズも素朴にデカい。5月までの期間限定品。

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1個220円(税込み)。気持ち高めだが、それ以上にヨモギ餅の美味さと中のつぶあんの質とボリュームに圧倒される。

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濃いヨモギ(岐阜産)を練り込んだ柔らかな餅とつぶあんのふくよかな甘さがマッチしている。

 

たまたまいらした3代目によると、「使っている小豆は十勝産の雅(みやび)です」。ちなみに砂糖は白ザラメとか。

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普通の小豆より高価な大納言小豆で、つぶしても美味いと言われる小豆でもある。

 

美味いはずだよ。塩気もほんのり。

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その二つが口の中で絶妙に爆発する。その後の春風を引き連れて。

 

シンプルだが、奥の深さ。

 

もう一品、研究熱心な3代目が新しく作り上げたのが「まつづき」(税込み 220円)。店名をひらがな読みしたところに店主の心意気を感じる。

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わかりやすく言うと、ヨモギのあんころ。ありそうでなかなかない、コロンブスの卵のようなすぐれモノだと思う。

 

こちらもデカいので、一見おはぎのように見えるが、中のヨモギ餅をこしあんで閉じ込めている。職人のきれいな手の匂いもする。

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このこしあんがなめらかで上質。むろん自家製。やや控えめな甘さで、十勝産雅の風味を見事に生かしていると思う。

 

ヨモギ餅の新旧あんこ対決、と言えなくもないが、どちらも不思議に懐かしい。

 

実は名古屋にはいい和菓子屋が多いが、こうした餅菓子屋さんが町中に自然に存在している。歩くとそれがよくわかる。

 

京都の陰に隠れているが、尾張名古屋の奥も深い。

 

賞味期限が「本日中」なので、夕飯後にホテルに戻って、2個ぺろりと平らげる。別腹。名古屋のあんこのレベルに想いを致してみる。

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あっぱれ、と小さく呟いてみる。

 

中村郷中村(現中村区)出身と言われる豊臣秀吉が大のあんこ好きだった、という説もある。見たわけではないので、裏は取れていないが。

 

尾張名古屋は和菓子で持つ。もとい、あんこもあるでよ。

 

所在地 名古屋市中区新栄3-23-10

最寄駅 地下鉄千草駅下車歩約10分

 

 

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