焼きたてカステラにドカン、あんこ乗せ。
和スイーツのサーカスかな。
これはひょっとして究極の「洋と和の出会い系」かもしれないぞ。
それがこれ。
約2年前にリニューアルした東京・上野風月堂本店喫茶室でいただいたもの。
店内限定。ここでしか味わえない、「焼きたて東京カステラ」(税込み 300円)にトッピングで「小倉あん」(同 80円)を付けてもらった。
匂い立つようなきつね色の真四角のカステラ。焼き上がったばかり。それに丸く添えられたつややかな小倉あん(つぶあん)。鼻息が荒くなる。
板場でカステラを焼く職人さんを眺めながら、ナイフとフォークでじっくりと味わう。
こういうぜい沢はありそうで、なかなかない。
カステラの食感が、フツーのカステラと明らかに違う。
ふわりとしていて、しかも繊細な弾力。食べた瞬間、卵とバターの香ばしさが口いっぱいに押し寄せてくる。上野風月堂独自のカステラ。
小倉あんも自家製で、ふくよかに炊かれている。皮まで柔らかい。ほどよい甘さ。北海道十勝産小豆のきれいな風味と余韻は老舗和菓子屋のもの。砂糖は上白糖を使用しているようだ。かすかな塩気もいい塩梅。
上野風月堂と言えばゴーフルやリキュールボンボンのイメージが強いが、元々は和菓子屋さんである。
その歴史がすごい。
創業は延享4年(1747年)。初代・大住喜右衛門は大坂(大阪)から出てきたようで、「大坂屋」を名乗っていたようだ。文化年間(1804~18年)には老中・松平定信から「風月堂」の屋号を賜ったという。松平家の御用菓子商にもなっている。
明治に入ってからは、和菓子と並行して、西洋菓子を作り始めている。
歴史がややこしい。詳しい説明は省くが、暖簾分けを何度か繰り返し、神戸や銀座にもそれぞれの地名を冠にした風月堂が存在している。
とはいえ、初代・大住喜右衛門からの本流はこの上野風月堂本店のようだ。
今では和菓子よりも洋菓子屋のイメージが強い。
焼きたての繊細なカステラに自家製のあんこをたっぷりつけて食べながら、上野風月堂の長~い歴史を想う。270年を超える歴史。
あんこ好きの勝手な願い。
この絶妙なあんこ、わき役に置くのはもったいない。
小倉色の点をもっと発展させた、新感覚の和洋菓子を作ってほしい。
令和のメニューに新しいあんこスイーツがずらり・・・そんな日が果たして来るのか。あんこの神様に聞くしかない?
ちょっと後悔。トッピングにホイップバターも付ければよかった。小倉あんもダブルで。プラス160円、コスパの心理的せめぎあい(笑)。
所在地 東京・台東区上野1-20-10