あんこスイーツにも新しい動きが出てきている。
埼玉・川越の老舗和菓子屋さんでたまたま見つけた面白い和スイーツ。
それが「アイスまんじゅう」(1個税込み 140円)だった。
シャレた包装。老舗和菓子屋、というのがミソ。
まんじゅうをただ凍らせた、というシンプルなものではない。
もっちりした皮にはゆずが練り込まれ、中のアイスの部分にはこしあんをベースにして、チョコレートのかけらを星のように点在させている。
最初見たとき、チョコレートが大納言小豆に見え、「へえー」と思ったが、食べるとチョコレートだった。
その意外性。和菓子の原点、饅頭(まんじゅう)もここまで来ている?
あんこ大好きにとってはビミョーなコラボだが、最初のアタックから次第に「これって、案外面白いかな」と印象が変わってきた。
あんこよりもチョコレートの風味が強め。ゆずの香りもジワリと来る。
小江戸・川越で大正10年(1921年)から暖簾を下げる「川越菓子舗 道灌(どうかん)」の新しい試み。
若い3代目が考案した新しい和スイーツで、これから暑くなるにつれて、「おっ、イケるかも」が広がってくるかもしれない。
こしあんの存在感をもっと前面に出してほしい気もするが、これがどう変化していくのか、種類を増やす可能性もあるので、ここは静かに注目したい。
この老舗和菓子屋の目玉が「道灌まんじゅう」(同 1個95円)。
こちらはドンピシャ好み。
玄米を使ったもっちりした皮。自家製のつぶしあん。質、ボリュームともに申し分がない。
「国産の玄米を皮に使ったまんじゅうは、多分、日本でもうちだけだと思います」(スタッフ)
一見、黒糖まんじゅうのように見えるが、口に含んだ瞬間、玄米独特の風味がほんわかと来る。小麦とも違う茶色のコク。それが舌に心地よい。
甘さをほどよく抑えた、しっとり感のある柔らかなつぶしあん。その風味がとてもいい。
使用している小豆は北海道産かと思ったら、「北関東産の小豆を使用してるんですよ」とか。これも珍しいこと。北関東の老舗和菓子屋さんの意識は相当高い、と思う。
さつまいもの「甘藷納糖」もこの店の目玉。運が良ければお買い得な「サービス品」(1袋 約13枚 445円)とも出会える。
家康の前に江戸の街を造った戦国武将・太田道灌(おおたどうかん)は、川越城の領主でもあった。
今や鎌倉と並ぶ関東の人気スポット、小江戸・川越の潜在力は道灌のチャレンジ精神を脈々と受け継いでいる。そう思いたくなる。
所在地 埼玉・郭町2-11-3