古都にはいい餅菓子屋さんが多い。
京都を筆頭に奈良、金沢、博多、仙台・・・ときて、ハタと思い至った。
いざ鎌倉、である。
その一つが鶴岡八幡宮の近くに暖簾を下げる、「旭日屋本店」だと思う。
ここの豆大福の形が面白い。手巻き豆大福で、京都「出町ふたば」、東京「群林堂」、「瑞穂」など名店の定番の形とは趣を異にする。
つぶしあんを赤えんどう豆がゴロゴロ入ったのし餅でくるっと巻いたもの。それがこれ。あれっ、丸くない。
なので、豆大福の名店より餅の存在感が強い。餅が分厚い。
1個162円(税込み)。
埼玉・熊谷「ばらや」や東京・祖師谷大蔵「香風」などにも同じ手巻き豆大福がある。
北海道旭川「七福」のねじり大福ほどの珍しさはないが、それなりにユニークな豆大福だと思う。
口に入れると、まず餅のしっかりしたコシと柔らかな伸びがググと来る。
特徴的なのは赤えんどう豆の存在感。群林堂とまでは行かないが、ゴロゴロ入っている。1個当たり7~8粒ほど。黒々と大きくてきりっとした歯ごたえで、塩の効き加減も悪くない。
中のあんこはこってり感の強いつぶしあんで、渋抜きを抑え気味にした、素朴な風味が濃い。塩気もきつめ。甘さも強め。
私の個人的な豆大福番付ノートでは、東の関脇クラスだと思う。
旭日屋本店の創業は明治38年(1905年)。113年ほどの歴史。
「餅粉を使っているところが多いんですけど、ウチは宮城県産餅米から作ってます。創業当時から手づくりにこだわり、添加物などは一切使っていません。小豆と赤えんどう豆は北海道十勝産です」(女将さん)
京都や東京の老舗名店ほどの圧倒感はないが、よくまとまった豆大福だと思う。
「海街diary」の原作コミックにも登場しているとか。夕方には売り切れることも多いと女将さん。だが、この日はたまたまなのか、しっかり残っていた。
ラッキー、と思うことにした。これって訳すと、大福ってことだよ。
所在地 神奈川・鎌倉市雪ノ下3-3-21