寒ければ寒いほど美味くなる、と思う。たい焼き好きにはたまらない季節。
ところで、東京のたい焼き御三家、なるものがある。
一に麻布十番「浪花家総本店」、二に人形町「柳屋」、三に四谷見附「わかば」というもの。いまだにこのフレーズが使われる。
本当か? それぞれ創業年が明治42年(1909年)、大正5年(1916年)、昭和28年(1953年)と古い。ポッと出のたい焼き屋とは思いが違う。
日本のたい焼きの歴史、老舗中の老舗なのは確かだ。
共通しているのはいずれも一丁焼き。つまり、一個一個手作業で焼いていること。
さてさて。
ここで本題。頭から尻尾まで全部食べた感想を言ってしまおう。
まずはすべてが高いレベルで美味い、ということをお断りしておく。
で、皮の質、あんこの質とボリューム、そのバランス。コスパも重要。
ジャーン、最上位に置きたいのは四谷見附「わかば」のたい焼きである。むろん個人的な好みが半分以上入っている。
姿かたちが実にきれいでお見事。
一尾150円(税込み)。浪花家総本店は180円、柳屋は140円。
何が凄いかってだって? まず表面の皮のパリパリ感と裏側のもっちり感。ふくらし粉の加減が絶妙という他はない。
何よりもふくよかなあんこ、である。自家製のつぶしあんで、塩気がかなり強め。小豆の風味が口の中で渦を巻くよう。量・質ともに御三家の中では一番だと思う。
好みもあるが、個人的にはこれぞたい焼き界の横綱だと思う。
浪花家の洗練ではなく、東京の野暮なあんこ。その一途さがすがすがしい。
ウソだと思うなら、寒空の下、ぜひ四ツ谷に行って、行列のシッポに並んでほしい。シッポの先の先までぎっしりあんこが詰まっている。
あんこの幸せ、ってあると思う。
所在地 東京・新宿区若葉1-10小沢ビル1F