遅ればせながら、新年おめでとうございます。
2018年いぬ年、最初の登場は「江戸切り羊羹 紅煉り(べにねり)」です。どうです、このルビーのような色。
東京・日本橋高島屋B1の「味百選・銘菓百選」で買ってきたもの。
この日本橋高島屋地下はあんこ好きにとっては聖地みたいな場所。日本全国老舗の和菓子がキラ星のごとく揃っている。まだ知らない人も多いと思うが、穴場です。
紅煉り羊羹はここで見つけたもの。「羊羹(ようかん)の町」佐賀県小城市にある村岡総本舗の傑作だと思う。
一棹801円(税込み)。1円は消費税の関係です(笑)。
昔むかし、門前仲町の喫茶店でママが「これ、美味いわよ」と言って差し出してくれたのがこの「江戸切り羊羹 紅煉り」との出会いだった。
竹皮に包まれた紅色の羊羹は、表面が糖化していて、噛んだ瞬間、ガサリガサリと音がした。中はねっとりとした羊羹で、その素朴な対比が衝撃的だった。
それまで羊羹は豆大福ほど大好きというわけではなかった。
その後調べてみると、この紅煉りはあの豊臣秀吉の時代からあり(当時は蒸し羊羹に近かったと思う)、それが江戸時代中期頃に東京・日本橋で寒天を使った煉り羊羹となった。
寒天と砂糖が一般化し、江戸切り羊羹は当時の人気スイーツとなって行った。
村岡総本舗は創業が明治32年(1899年)。江戸時代ではないが、江戸の製法をほとんどそのまま伝承している。これは凄いことでもある。
日光の名店「ひしや」が休業してしまった今、この江戸切り羊羹は貴重である。
北海道産大手亡豆(白インゲン)をクチナシで着色し、舟形に流し込んだ羊羹を包丁で長方形に切っていく。
お正月にはふさわしいめでたい羊羹だと思う。赤には魔除けの意味もある。
ルビー色の羊羹は白インゲンの風味とほどよい甘さで、舌先に遠く江戸の面影を運んでくる。今年一年が誰にとってもいい一年になりますように。
所在地 東京・中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋B1味百選・銘菓百選