こしあんのどら焼き、というのはあまりない。
ありそうだが、不思議にない。
しかもそれが明治38年(1905年)創業の老舗、となると極めて珍しい。
あの「上野うさぎや」でさえ、創業が大正2年(1913年)である。
東京・神田神保町の「亀澤堂」である。現在は4代目。
そのこしあんのどらやきがこれ。
1個税込み230円ナリ。小ぶりで皮もあんこも職人の手づくり。「うさぎや」や人形町「清寿軒」のような大きさもどっしり感もない。
色ムラのない見事な手焼き。手で割ると、甘いいい匂いが広がる。卵の黄身とハチミツをたっぷり使っていることがわかる黄色みの強い皮。小麦粉は国産のもの。
しっとり感よりふわふわ感が強い。うさぎやのようなボリューム感はない。
さて、こしあんのあんこ。かなり甘めできれいな食感と風味。しっとりとしていて、いいこしあんだと思う。小豆は北海道産を使用。砂糖は白ザラメか。水飴も使っているようだ。
つぶあんに慣れた舌から見ると、やや物足りない。洗練されたこのあじわいをどう見るか、だと思う。
定番のつぶあんを食べてみる。好みとしてはこちら。つぶあんのふっくら感がとてもいい。柔らかなつぶつぶ感も秀逸。こちらもかなり甘め。
この店の人気は「豆大福」だが、二番人気はこのどらやき。
清寿軒とうさぎや(個人的には日本橋が好きだ)が「東京場所」の東西横綱だとしたら、ここは関脇クラスだと思う。店の佇まいも渋い。
愛すべき関脇、というのもあると思う。
古本屋巡りをした時などにはふと行きたくなる、いい和菓子屋さんであることは間違いない。
所在地 東京・千代田区神保町1-12-1