週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

江戸グルメ「栃餅あんころ」

 

あんころ餅、は正月に食べるもの・・・とは限らない。

 

会津・大内宿といえば、江戸時代の茅葺きの古民家がそのまま残る、日本でも有数の歴史遺産だと思う。その数30軒ほど。観光客も多い。

 

そこに珍しい「栃餅(とちもち)」のあんころ餅がある。

f:id:yskanuma:20170803151920j:plain

 

搗(つ)きたての餅に栃の実を加えて、手間ひまをかけて作らなければならない。そのため、これを出す店がどんどん減っている。

 

これは行かねばなるまい。大内宿の中でも老舗の蕎麦屋「こめや」に、この栃餅のあんころ餅がある。

f:id:yskanuma:20170803152021j:plain

 

時代劇に出てくるような古民家(本物)の中で、「栃餅 税込み550円」(あんこときな粉のペア)を頼んだ。

 

栃餅は色が茶褐色で、皿に盛られたあんこときな粉の2種類。出来立ての湯気がふわふわと立ちのぼってくるよう。

f:id:yskanuma:20170803152107j:plain

 

あんこはドロリとしたこしあんで、控えめな甘さ。箸でつかむと、伸びやかに立ち上がってくる。

f:id:yskanuma:20170803152152j:plain

 

柔らかな栃餅とこしあんの風味がコラボする。栃餅はクセがあり、妙な表現だが、硫黄のような匂いがする。

 

ボルドーのプレミアムワインにも硫黄の匂いのするものがあり、それが官能的な魅力にもつながっている。

f:id:yskanuma:20170803152231j:plain

 

それを思い出した。クセはあるが、いやな感じではない。それどころか、普通の餅では味わえない独特の面白みが口の中に広がる。

 

こしあんがそれに絶妙にマッチする。

 

ほお~、という言葉が出かかる。伝えるのが難しい古くからの味わい。

f:id:yskanuma:20170803152307j:plain

 

きな粉もイケる。京都「澤屋」の粟餅を思いっ切り野暮ったくしたような味わい。江戸の山奥にこういう美味があったことに改めて驚かされる。

 

江戸のスイーツ、恐るべし。

 

所在地 南会津郡下郷町大字大内字山本16-3

最寄駅 会津鉄道湯野上温泉駅からバス

 

 

          f:id:yskanuma:20170803152342j:plain