週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

「塩羊羹元祖」にたどり着く

 

頂き物で、この塩羊羹(しおようかん)を初めて見たとき、見入ってしまった。

 

ただの塩羊羹ではなかった。

 

グレーがかった、灰緑色の凝縮。オーバーではなく、宝石の瑪瑙(めのう)でも見るように、しばらくの間、その場を動けなかった。

f:id:yskanuma:20170713105507j:plain

f:id:yskanuma:20170713105636j:plain

 

明治6年(1873年)創業、長野・諏訪大社下社秋宮の門前に暖簾を下げている「新鶴本店(しんつるほんてん)」の塩羊羹。塩羊羹の元祖でもある。

 

店まで足を運ばないと、この塩羊羹を手に入れることはできない。今どき珍しい孤高の店でもある。

 

そして、ついに本店のある下諏訪駅まで足を運んだ。

f:id:yskanuma:20170713105748j:plain

 

江戸時代の面影を残す、明治期の建物。

 

塩羊羹(一本950円=税込み)を3本買い求めた。

 

さらに、もう一つの狙い、ここでしか食べれない「もちまんじゅう」(1個170円)をゲットした。午後には売り切れてしまうことが多い。希少な餅菓子。

f:id:yskanuma:20170713105858j:plain

 

すぐ固くなるので、無理を言って、店の中で食べさせてもらった。前回書いた、奈良・大和郡山市にある超老舗和菓子屋「本家菊屋」と同じ展開になってしまった。

f:id:yskanuma:20170713105939j:plain

 

グスン、こちらは皿もお茶も出なかったが(当たりメエだよ)。

 

「もちまんじゅう」という名称だが、こしあんの大福餅に近い。

f:id:yskanuma:20170713110023j:plain

 

「餅は今も臼ときねで搗(つ)いてます」(女性スタッフ)

 

伸びと腰がしっかりしている。中のこしあんは、実にきれいな味わい。北海道十勝産の小豆と白ザラメ、それに塩。その加減が絶妙で、いい余韻が口中に残る。

f:id:yskanuma:20170713110137j:plain

f:id:yskanuma:20170713110220j:plain

 

塩羊羹とともに明治6年からほとんど同じ製法で作られている。こうした店が、世の中の流れに棹(さお)さすように、店を広げずに暖簾を守り続けている。

 

雨の日も晴れの日も台風の日も194年・・・気の遠くなるような時間の流れ。

 

そのことに三歩下がって、改めて敬意を表したい。

 

所在地 長野・下諏訪町横町木の下3501

最寄駅 JR下諏訪駅歩約10分

 

 

           f:id:yskanuma:20170713110318j:plain