週刊あんこ

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伊勢本店で食べた赤福餅

 

赤福餅」には複雑な思いがある。                                                                

 

大好きだっただけに、愛憎半ばするのだ。

 

手ごろな価格で、あんなに美味いあんころ餅はあんまりなかった。今でもそう思う。出張の多いカメラマンが関西に行くたびに手土産で買ってきてくれた。

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折詰の蓋を取った瞬間のときめき。素朴で見事なこしあんが、銀紙を背景に浮かび上がってくる。

 

「いつ食ってもうめえ。こりゃまるであんこの満月だよ、ガハハハ」

 

冗談好きで甘党のカメラマンが面白い表現をすると、ガサツなその場が和んだ。舌の上の満月、ってのも確かにあるかもしれないなあ。ホント?

 

それだけに約9年前の偽装表示事件にはガッカリさせられた。

 

一度イメージを落とすと、立ち直るにはその数倍の時間とエネルギーが必要と言われる。

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去年の秋、三重・松阪市に立ち寄ったついでに、伊勢神宮に足を延ばし、おかげ横丁にある本店に立ち寄ってみようと思った。あの騒動からはや9年の歳月が流れている。

 

江戸時代の面影を残す入母屋造りの本店で、「赤福セット」(2個210円=税込み)を賞味することにした。

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観光客が大勢いて、店内はそれなりに賑わっていた。タイムスリップしたような店内。サービスの熱い番茶を飲みながら赤福餅を食べる。

 

れいなこしあん。甘さは控えめで、小豆のいい風味が立ち上がってくる。餅の伸びやかさ。

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相変わらず美味い。ああ立ち直ったんだなあ、としみじみ。

 

だが、かつてのあの怒涛のような感動は来ない。素朴で力強いこしあんではなく、上品できれいなこしあん。微妙に変化していると思う。むろんこれはこれで悪くはない。

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五十鈴川を眺めながら、本店の広い座敷の上で食べる赤福餅はまた格別だが、一抹の寂しさを覚えるのはなぜか。

 

創業が1707年(宝永5年)、現在の当主は12代目。株式会社になって4代目だそうだが、どうか手づくりの素朴な味わいを忘れないで欲しい。

 

所在地 伊勢市宇治中之切町26番地

最寄駅 近鉄鳥羽線五十鈴川駅

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