週刊あんこ

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安倍川もち元祖のあんこ

 

元祖安倍川もちを食べに静岡まで行った。

 

JR静岡駅で降り、そこからバス。安倍川沿いにその店はあった。

 

そこだけ江戸時代。東海道五十三次の世界。弥次喜多がぬっと出てきそうな気配。

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「元祖安倍川もち 石部屋(せきべや)」と染め抜かれた茶色の暖簾が下がっている。

 

創業は文化元年(1804年)。元々は茶店で、初代石部屋吉五郎から数えて、現在の当主は「私で15代目です」とか。

 

15代目だって? どこか五代目柳家小さんのような風貌でさらりとおっしゃる。

 

緋毛せんが敷いてある小上がりで、「安倍川もち一人前」(税込み600円)を頼むと、その15代目自らが作り始めた。

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こしあんときな粉がそれぞれ5個ずつ。きな粉の上には白砂糖がたっぷりかかっていた。これこれ。ほとんど創業当時からのまま。

 

夢のタイムスリップ。

 

搗きたての餅は柔らかく伸び、コシもある。

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こしあんは素朴なこしあんで、やや甘め。思ったほどの風味がない。

 

「あんこは昔から製餡所のものを使っているんだよ」

 

15代目の率直な物言いが東海道の歴史を感じさせる。

 

きな粉は風味豊かで、盛大にかかった白砂糖とともに搗きたての餅を引き立てる。

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口の中でそよ風が立ってくるよう。きな粉のそよ風も悪くはない。

 

きな粉餅はかの家康や八代将軍吉宗も好んで食べたと言われている。

 

吉宗はそれまで輸入に頼っていた砂糖の国産化に力を入れたお方。それがこのきな粉餅の白砂糖に結びついているとも言える。あんこも然り。あんこ好きとしては吉宗に足を向けては寝れない。

 

元祖安倍川もちを食べながら、つい弥次喜多に話しかけたくなった。

 

所在地 静岡市葵区弥勒

最寄駅 JR静岡駅からバス安倍川橋下車

    

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