週刊あんこ

和スイーツの情報発信。あんこ界のコロンブスだって?

子どもお断り「限定あんバター」

 

大人しか食べれないあんバター、というのを偶然、見つけてしまった。

 

あの元祖あんぱんで有名な、東京・銀座木村家を散策中のこと。

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酒種の桜あんぱんを買おうと思って、行列に並んだが、ふと「大人のあんバター」の文字が目に入ってしまった。

 

大人のあんバターだって?

 

つまり子どもは食べてはいけないってこと?

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銀座木村家(本店)でしか買えない、ということもわかった。しかも午後2時と午後5時、一日2回しか販売しない貴重な限定品だそう。ゲットラッキーかいな。

 

たまたま午後5時だった。

 

ここの人気ナンバーワン「桜あんぱん」やあんバターの進化系か? 好奇心がむくむく。群がる女性を押しのけて、めでたく3個ゲットした。一個税込み270円。そう安くはない。

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あんバターはソフトフランスパンに北海道十勝産の大納言小豆のつぶしあんとホイップバターを挟んだもの。今や酒種あんぱんに続く銀座木村家の定番にもなっている。

 

新顔「大人のあんバター」はそこにラム酒を加えたもの。

 

あんことバターとラム酒ひょっとしてミスマッチかもしれない。

 

それを持ち帰り、翌朝、食べることにした。朝からラム酒もオツだと思う。

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ソフトフランスパンは噛みごたえがある、あのほんのり塩気のある、拒絶するような生地。酒種あんぱんやコッペとはまるで次元が違う。

 

かじりついた途端、ラム酒の香りがいきなり口中に広がった。

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つぶしあんとホイップバターが妙にエロティックに絡み合ってきた。

 

口中の甘くてホロ苦い密会、ってとこかな。

 

激ウマでも激マズでもない。

 

これはあまりヒットしてほしくない。

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明治2年(1869年)創業の、あんぱんの木村家が久しぶりに放った、道ならぬ恋のあんぱん。そう言えなくもない。

 

色物のあんぱん?

 

あんぱん界のブルゾンちえみ?

 

ずっとこのままで、銀座本店でだけ、一日2回の限定品でいてほしい気がする。

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ラム酒はジャマイカラム酒らしい。それをホイップバターの中に潜ませているようだ。

 

どうしてジャマイカラム酒なのかは不明である。

 

ウサイン・ボルトも絡んでいるのか?

 

今度、こっそり聞きに行ってみよう。

 

所在地 東京・中央区銀座4-5-7

最寄駅 東京メトロ銀座駅

 

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小豆の頂点、高麗餅の凄味

 

京都の友人から「御目出糖(おめでとう)」なる和菓子をいただいた。

 

それが元和3年(1617年)創業の上菓子屋「萬年堂本店」(当時は亀屋和泉)のものだと知ったのは食べ終えてからだった。

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大納言小豆を使った蒸し菓子だが、独特の食感で、あまりの美味さに驚いた。

 

何じゃこれは?

 

独特のもっちり感と小豆の洗練された風味。初めての感触。

 

これは反則に近い。

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かような上菓子とは無縁な生活だが、これが秀吉の唐入り朝鮮侵略)からのお菓子だと知って、さらに驚いた。

 

小豆あんに餅粉と米粉を加えて混ぜ、そぼろ状にしてから、そこに大納言小豆の砂糖漬けを散らして、蒸し上げたお菓子。

 

こしあんがそぼろ状にもっちりしていて、その小豆の風味とほどよい甘さに、数百年前の殿上人の舌の確かさに唸らさせられた。

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高麗餅(こうらいもち)、という名称が朝鮮から来たことを裏付けている。

 

ひょっとして千利休これを茶席に使っていたかもしれない。

 

私が食べたのは東京・銀座にある「萬年堂本店」の上菓子だが、遡ると、元和3年以前から、つまり秀吉が朝鮮侵略から連れてきた陶工たちとともに日本に入ってきたようだ。ルーツは朝鮮ということになる。

 

それゆえ「高麗餅」という名称で、鹿児島や他の地域にも伝わっている。それぞれ微妙に作り方も味わいも違う。

 

だが、萬年堂本店の「高麗餅」は別格だと思う。

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門外不出で、元和3年より家伝のレシピで作られている。

 

明治に入ってから、天皇遷都とともに、京都・寺町から東京に移り、そのときに「御目出糖」と名前を変えた。小豆の赤い色が目出度い、ということで、「御目出糖」となったようだ。

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それに代わって、挽き茶を加えたもの(手亡あん)に「高麗餅」と名付けた。ややこしい名称変更だが、本来の高麗餅は小豆の方である。

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こうした複雑な由来を吹き飛ばすほど、とにかく美味い。(個人的には見かけだけの和スイーツなど足元にも及ばない、と思う)

 

蒸し菓子というと、蒸し羊羹が有名だが、これはおそらくそのレベルを超えている。そぼろ状の洗練されたこしあんが、独特のもっちり感とともに、舌の上で溶けていく。

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その後、もう一度食べたくなって、東京・銀座まで足を延ばした。6個入り1720円(税別)と安くはないが、御目出糖と高麗餅(各3個入り)を買った。

 

現在12代目だという和服姿の女将さんが、丁寧な口調で、「息子が13代目なんですよ」とおっしゃった。飯田橋の「萬年堂」は暖簾分けとか。

 

和菓子の世界の奥の深さを思い知らされた一瞬だった。

 

所在地 東京・中央区銀座5-8-20銀座コア1階

最寄駅 東京メトロ銀座駅

 

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寅さんの「冷たい新顔」

 

草だんごといえば、つい寅さんを連想する。

 

あんこ好きの悲しいサガ。

 

映画「男はつらいよ」(山田洋次監督)の舞台、東京・柴又帝釈天の門前には草だんごの店がズラズラーッと並んでいる。

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最も古くて有名なのは「高木屋本舗」だが、「何言ってんだい、草だんごではウチが一番古いよ」というのが、「亀家本舗」である。このあたりは諸説ある。

 

昭和2年(1927年)創業。帝釈天に最も近い老舗で、男はつらいよの最初のモデルは「高木屋本舗」ではなく、この店だったらしい。

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ここで見つけたのが「アイス草団子」(税込み400円)である。草だんごのアイスクリーム乗せ。

 

柴又草だんご界の、いわば甘く冷たい新顔である。

 

草だんごにアイスクリームを乗っけたのはここだけ。

 

あんこはつぶあん。小豆は北海道十勝産、砂糖は白ザラメを使い、あんこ職人さんが毎朝早起きして炊いている。草だんごは上新粉とよもぎの若芽(旬に冷凍したもの)を使い、器械で搗(つ)いている。

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「その香りがすごくいいのよ。毎日、幸せな気分になるわ」(おばはん店員さん)

 

つぶあんはこってりしていて甘め。濃厚な小倉色。添加物など使っていない。

 

淡いよもぎの草だんごは5個ほど。つぶあんとよく合っている。

 

その上のバニラアイスは、昭和のさわやかなアイスクリームで、それが溶け始めると、つぶしあんといい具合にコラボする。ミスマッチではない。三位一体の風味がつらくない。

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さくらちゃんのような、さわやかでけな気な味わい。

 

渥美清は甘党でもあったらしい。亀家本舗のざっくばらんな店内でこれを味わっていると、向こうからあの四角い顔がやって来た。

 

「よっ、やってるかい?」

 

寅さんの何とも言えない笑顔が一瞬だが、確かに見えた。むろん幻覚だが。

 

渥美清が亡くなったのは平成8年(1996年)8月4日。もう20年以上経ったのに、寅さんは今もファンのなかで根強く生きている。

 

所在地 東京・葛飾区柴又7-7-9

最寄駅 京成線柴又駅

 

 

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十条の金星「いちご草餅」

 

あんこ餅菓子にも出会い系がある。

 

さよならだけが人生、ではない。

 

東京・北区の十条銀座商店街をぶら歩きしていると、甘味処「だるまや」が見えた。

 

入り口にはのり巻きやおいなり、だんご、豆大福などが雑然と置いてあり、下町の餅菓子屋の佇まい。

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目が吸い寄せられるように、一点に向かった。

 

「あまおう草餅」

 

いちご大福は今やどこにでもあるが、いちごの草餅というのは初めて。しかもいちごの王様「あまおう」とは。

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見事なよもぎの草餅に包まれるように、「あまおう」が鮮やかな色で片目をつむった・・・気がした。胸がピコピコ。

 

こしあんとつぶあんがあり、つぶあん(280円)を頼んだ。それを奥の喫茶コーナーで、コーヒーを飲みながら、味わった。

 

この春、最大のびっくり。

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よもぎ餅の美味さ。あまおう(減農薬栽培)の滴るような甘さ。

 

何より、つぶあんが素晴らしかった。

 

あまりに柔らかな甘みと風味。口中にそよ風が立った。

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これほどのあんこを作っている店主に話を聞きたくなった。

 

三代目だという若い男性(息子さん?)は熱い男で、

 

「ウチはオーガニックにこだわってるんですよ」

 

と語り始めた。

 

「素材は産地よりも生産者が問題なんですよ。オーガニックでいいものを作ってると耳にすると、北海道でも宮古島でもどこへでも行きますよ。砂糖だって生産者を選んで、和三盆糖を使ってるんです。このくらいのこだわりは当然なんですよ」

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店の創業は昭和22年(1947年)。ここはかき氷でも知られた店で、あんこの美味さにも定評があるようだ。

 

正直、その語りには少々へきえきしたが、作っているのは二代目のようで、そのお方がすご腕の和菓子職人であることは想像できた。

 

GW中にまた食べたくなって、再び足を運んだら、「あまおう草餅」は終わっていた。

 

「あら残念でした。季節限定なんですよ」

 

店の女性スタッフが申し訳なさそうに言った。その瞬間、下町の金星が消えた・・・。

 

「12月から4月の頭くらいまで、です。また12月に来てください。これからはかき氷です。いかがですか?」

 

所在地 東京・北区十条仲原1-3-6

最寄駅 JR埼京線十条駅北口

 

 

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東京和スイーツの傑作

 

あんまり暑いんで、今日は冷たいあんこの話。

 

小倉アイスの元祖が東京・湯島にある「みつばち」と知っている人は少ない。

 

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明治42年(1909年)創業。もともとは氷あずきが目玉だったが、二代目のとき、冷夏で売れ残ってしまった。もったいないので桶(おけ)に入れて冷凍庫に入れて保存して置いたところ、たまたま食べてみたら、これが美味かったそう。

 

で、「これはイケる」となって、大正4年(1915年)に売りだしたところ、当時の東京っ子の舌を魅了した。小倉アイスの誕生秘話で、四代目の今もみつばちに伝わっている。

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そのなめらかな舌触りと大納言小豆の風味の素晴らしさは、一度食べると病み付きになるレベル。いま食べても実に美味いのだから、当時の東京っ子の驚きがわかる。

 

で、その小倉アイスと鹿の子あんこをドッキングしたのが、「小倉鹿の子」(税込み580円)である。

 

小倉アイス(大きい)を半分覆うように鹿の子あんが雪崩れ込んでいる。そのあまりにつややかなドッキング。

 

この「あんコンビ」はスーパーだと思う。

 

鹿の子あんは大納言の粒つぶがしっかりしていて、しかも中がふっくらと炊かれている。濃い茹であずきのよう。塩がほんのり効いていて、かなり甘い。あんこ職人の気配。

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以前、ここの「氷あずき」の美味さに圧倒されたが、この「小倉鹿の子」もあんこ好きにはこたえられない、東京和スイーツの傑作だと思う。

 

店は老舗の敷居の高さはない。表が小倉アイス(もなか)のテイクアウト専門で、奥が甘味処になっている。

 

余計な飾りのない、下町の老舗で食べる「小倉鹿の子」は格別のものがある。

 

蕎麦屋の湯桶(ゆとう)のようなものが置いてあり、その中身はなんと黒蜜! 

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しばらく何もかけないで、小倉鹿の子を楽しんでから、おもむろに黒蜜をたっぷりかける。こってりした黒糖の甘さと香りが、もう一つの味わいを運んでくる。

 

湯島で秘密の蜜の味わい。

 

世界が金色に輝き始める。ホントだよ。

 

いつの間にか、自分がみつばちに変身していることに気づく。

 

人間の形をしたみつばち。こんな結末、ありか?

 

所在地 東京・台東区湯島3-38-10

最寄駅 東京メトロ湯島駅

 

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戦国「けし餅」の驚き

 

戦国時代にタイムスリップしたくなったら、この和菓子を食べてみてほしい。

 

幻のあんこ菓子を求めて三千里の旅。

 

今回ご紹介するのは、にわかには信じがたい、堺の「芥子餅(けしもち)」である。

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創業が室町時代・天文元年(1532年)。当代は何と二十代目。一子相伝で、現在もなおそのワザを受け継いでいる。

 

あべのハルカスを見上げる天王寺から、レトロな路面電車阪堺線)に乗って、約1時間半ほど。日本で一番のどかなチンチン電車宿院(しゅくいん)駅で下車すると、そこがあの戦国時代に名をはせた「独立国 堺」の中心地である。

 

東南アジアを経由してヨーロッパや中国とも盛んに貿易(南蛮貿易)をし、独自の軍隊まで持ち、千利休など歴史に残る茶人を産んだ場所。そのスケールの大きさは多分、想像を超えている。悲しいかな、往時を実際に見ることはできない(当たり前だよ)。

 

今は過日の面影はない。

 

だが、その夢のシッポはほんの少しだが、残っている。

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千利休の屋敷跡を見てから、5~6分ほど歩くと、そこにひっそりと「本家小嶋」が暖簾を下げている。485年も続く老舗中の老舗だが、何も知らないと、ただのさびれた和菓子屋にしか見えない。

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ここの「芥子餅(けしもち)」が驚きの味わいなのである。あの千利休が茶席にも出していたという芥子餅。「肉桂餅(にっきもち)」とのセット(3個ずつ6個入り 920円)をお土産にして、翌々日賞味した。

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こしあんを求肥餅(ぎゅうひもち)でくるんで、表面をびっしりと芥子の実でまぶしてある。口に運んだ途端、芥子の実の香ばしさとプチプチ感に「ホオーッ」となる。

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続いて、求肥餅の柔らかさと中のこしあんのきれいな風味の波。そこいらの芥子餅とは次元が違い過ぎる(と断言してしまおう)。 言うまでもないが、すべて自家製。

 

「ホオーッ」が二度三度と続いて出てくる。とにかく驚かされる。

 

肉桂餅もニッキの香りとこしあんが見事に融合している。

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堺には江戸時代創業の「小島屋」や「八百源」があり、そちらは全国のデパートなどでも売られているが、この「本家小嶋」は堺から一歩も出ようとしない。

 

雨の日も風の日も、ひっそりと暖簾を下げている。その凄み。

 

孤独な、もう一人の千利休がその暖簾の奥に、今も生き続けている気がする。

 

所在地 大阪府堺区大町西1-2-21

最寄駅 阪堺線宿院駅下車

 

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渡辺直美的「あんマガ」

 

コッペパンがブームになっている。

 

あのアンパンマンの世界でも、仲間外れだったコッペパン

 

それがどうして一躍人気者なったのか、不思議だ。

 

だが、東京周辺で、その火付け役の一つになったのが、東京・亀有「吉田パン」である。

 

ここの「あんマーガリン」(1個税込み190円)が気に入っている。

 

注文すると、店員さんが目の前で、ヘラを使って、まずマーガリン、それからこしあんを惜しげもなく塗っていく。これがうれしい。

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ビヨンセばりのナイスバディ。と言えなくもない。手に取った瞬間、そのスケールの大きさと存在感に心がざわめく。

 

心が騒ぐコッペパン

 

というのも確かにある。

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パンの美味さにまず「うむ」となる。フワッとしていて、しっとり感がピタリと張りついてくる。もっちり感の寄せ。小麦のいい香り。

 

あるいは、これは渡辺直美ビヨンセではないか?

 

バターではなく、マーガリンというのが渋い。

 

コッペパンは自家製だが、こしあんはあんこ屋さんに特注しているそう。

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二年ほど前に、初めてこれを食べたとき、あまりの美味さに度肝を抜かれた。以来、コッペパンに対するイメージが180度変わってしまった。

 

コッペ、マーガリン、こしあんの三角関係があまりに濃密で、その結果、全身のボタンが外れてしまった・・・と表現したくなるくらいの衝撃だった。

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この吉田パン、あの伝説のコッペパン専門店、岩手・盛岡の「福田パン」(1948年創業)に弟子入り修業して、平成25年4月に(2013年)にオープンという経由を持っている。

 

いわば、伝説のノレン分け。

 

違うのは福田パンが「あんバター」としているのに対し、こちらは「あんマーガリン」。(あまり関係ないが、アン・マーガレットはどうしていらっしゃるんだろう?)

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こしあんはサラッとしていて、甘さは控えめ。塩が絶妙に効いている。

 

翌朝、残りの1個をオーブンで2分ほど焼いてみた。パンの香ばしさが引き立ち、マーガリンが少し溶けだして、これはこれで別のうま味が出てくる。

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行列店で、夕方には売り切れてしまうことも多い。去年、北千住ルミネに2号店がオープンした。言い忘れたけど、コッペパンは惣菜コッペも含めて、常時30種類ほどある。

 

少しだけ気になるのが、人気が出ると、一般的に味が幾分薄くなること。今回、久しぶりにこの店の「あんマーガリン」を食べたが、以前よりほんの少し、あんこの量が減った気がした。勘違いだといいのだが。

 

ところで、天国のやなせたかしさんは、このコッペパンブームをどう眺めているんだろう? というより、どうしてコッペパンマンを登場させなかったんだろう?

 

所在地 東京・葛飾区亀有5-40-1

最寄駅 JR亀有駅北口歩5分

 

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