週刊あんこ

和スイーツの情報発信。めざすはあんこ界のコロンブス!

千住宿の絶妙串だんご

 

かつて旧日光街道日本橋から数えて最初の宿場町だった北千住。

 

ここに東京でも有数の串だんご屋がある。

 

ひそかに東京一ではないか、と思っている。築地の茂助ダンゴよりも好み。

 

こう書くと、そりゃオーバーだよ、という声が聞こえてきそうだが、最初に食べたときに、その手づくりの美味さと安さに驚いた。

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宿場町通りをしばらくぶら歩きすると、「槍(やり)」と染め抜かれた紺地の日除け暖簾が見えてくる。それが「槍かけだんご かどや」である。あたりには江戸の匂いを残す店が数軒ある。

 

江戸創業かと思いきや、創業は昭和27年と比較的新しい。今も暖簾を広げず、家族で営んでいる。65年ほどの歴史。

 

メニューは「あんだんご」と「やきだんご」の2種類しかない(あんだんごは季節によってよもぎ餅もある)。1本90円(税込み)をずっと据え置いている。

 

炭火で一本ずつ手作業で焼くやきだんご(みたらし)も実に美味いが、あんこ好きとしては「あんだんご」にぞっこん。昔ながらの作り方そのまま。

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平べったい餅の柔らかさと甘さを抑えたこしあんの風味。こしあんはたっぷりとヘラで付けられている。その、素朴できれいな美味さ。餅の伸び。

 

塩加減が実に絶妙で、舌の上がしばらくの間小さな天国になる。

 

小豆は北海道十勝産の厳選小豆を使用、それを銅鍋でほぼ毎日炊いている。一定量しか作らないので、午後には売り切れてしまうこともある。ここは注意が必要。

 

添加物などは使用していないため、午前中に買って夕方食べようとすると、固くなりかかっている。そこが素晴らしいところでもある。

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持ち帰り専門だが、店先に小さな縁台がある。そこにどっかと腰を下ろして、出来立てを食べるのが一番美味いと思う。じろじろ見られているようで恥ずかしい、という言葉はシャットアウトする必要があるが。

 

平成24年(2012年)に店を建て替えた。それまでは明治末建築の足袋屋(たびや)の古い建物を使っていた。それがまたよかった。

 

「槍かけだんご かどや」と書かれた、横書きの巨大看板が懐かしい。セピア色の世界。その時の方が風情があって全然よかったよ、という千住っ子も多い。

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槍かけの由来は、江戸時代、近くの清亮寺に大きな松があり、そこに家来が水戸光圀水戸黄門)の槍を立て掛けていたことによる。

 

こういうだんご屋がしっかりと根付いている北千住。居酒屋の街でも知られるが、遠い江戸の匂いが今でもしっかり残っている。

 

                 

所在地 東京都足立区千住5-5-10

最寄駅 JR北千住、地下鉄北千住駅西口から歩約10分

 

 

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「一幸庵カフェ」のあんこ

 

究極のあんこ、というものは永遠の謎かけだと思う。

 

とはいえ、それに近いものはきっとある。

 

「一幸庵」のあんこは多分、その一つだと思う。

 

東京・小石川にある和菓子の名店。老舗とはいえないが、当主は知る人ぞ知る和菓子職人で、こだわり抜いた生菓子などはあっという間に売り切れてしまう。

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そのすぐ近くに「cafe 竹早72」があることを知り、のぞいてみた。ここは「一幸庵」の娘さんが営む小さなカフェ。オープンして4年ほどだが、あまり宣伝しないためか、客はそう多くない。

 

「おしるこ」や季節の和菓子など、一幸庵のあんこを堪能できる、穴場でもある。

 

素材から作り方までこだわり方が半端ではないので、その分、舌代も安くはない。

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モダンなシンプル。カウンター席とテーブル席。無駄なものがない。ゆったりした時間が小さな空間に揺蕩っている。

 

メニューの中に「ANNパン」(税込み800円)を見つけ、頼んでみることにした。

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白い大皿にトーストして四角く切り分けられた食パンとこしあん、つぶあんがきれいに置かれていた。お茶が付いていて、気配りが効いている。柴漬けと梅漬けの箸休めも。

 

そのこしあんとつぶあんについ見入ってしまった。

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こしあんは薄い茶色で、その見事な肌理が伝わってきた。絹のようなこしあん、と表現したくなった。

 

口に含むと、そのきれいなねっとり感にたじろぐ。バターが塗られているトーストパンに挟んで食べると、いささか物足りないほどの繊細な風味。

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もう一つのつぶあんは小豆の色が濃い。聞いてみると、「能登大納言小豆を使ってます」とか。丹波大納言と並ぶ最高峰の大納言小豆で、粒の大きさと風味がひときわ光るもの。

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ひと口。風味が只事ではない。一粒一粒がふっくらと炊かれていて、形が崩れていない。しかも、皮も中身も実に柔らかい。ほどよい甘み。

 

いい和菓子職人の手にかかると、能登大納言小豆の風味がさらに引き立つことがわかる。

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トーストパンに挟むと、こちらはパンの風味にもバターのささやきにも負けていない。

 

「砂糖は和三盆でしょう?」

「いえ、白ザラメです」

 

ハズレてしまったが、たおやかな店主との短い会話も楽しい。ちなみに店名の最後に付いている「72」は古から伝わる季節の流れ「二十四節気七十二候」から取っているそう。

 

こういうカフェが東京の片隅にあることを喜びたい。あんこ好きにはおすすめの世界ではある。

 

 

所在地 東京・文京区小石川5-14-2

最寄駅 丸ノ内線茗荷谷駅下車

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安倍川もち元祖のあんこ

 

元祖安倍川もちを食べに静岡まで行った。

 

JR静岡駅で降り、そこからバス。安倍川沿いにその店はあった。

 

そこだけ江戸時代。東海道五十三次の世界。弥次喜多がぬっと出てきそうな気配。

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「元祖安倍川もち 石部屋(せきべや)」と染め抜かれた茶色の暖簾が下がっている。

 

創業は文化元年(1804年)。元々は茶店で、初代石部屋吉五郎から数えて、現在の当主は「私で15代目です」とか。

 

15代目だって? どこか五代目柳家小さんのような風貌でさらりとおっしゃる。

 

緋毛せんが敷いてある小上がりで、「安倍川もち一人前」(税込み600円)を頼むと、その15代目自らが作り始めた。

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こしあんときな粉がそれぞれ5個ずつ。きな粉の上には白砂糖がたっぷりかかっていた。これこれ。ほとんど創業当時からのまま。

 

夢のタイムスリップ。

 

搗きたての餅は柔らかく伸び、コシもある。

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こしあんは素朴なこしあんで、やや甘め。思ったほどの風味がない。

 

「あんこは昔から製餡所のものを使っているんだよ」

 

15代目の率直な物言いが東海道の歴史を感じさせる。

 

きな粉は風味豊かで、盛大にかかった白砂糖とともに搗きたての餅を引き立てる。

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口の中でそよ風が立ってくるよう。きな粉のそよ風も悪くはない。

 

きな粉餅はかの家康や八代将軍吉宗も好んで食べたと言われている。

 

吉宗はそれまで輸入に頼っていた砂糖の国産化に力を入れたお方。それがこのきな粉餅の白砂糖に結びついているとも言える。あんこも然り。あんこ好きとしては吉宗に足を向けては寝れない。

 

元祖安倍川もちを食べながら、つい弥次喜多に話しかけたくなった。

 

所在地 静岡市葵区弥勒

最寄駅 JR静岡駅からバス安倍川橋下車

    

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和スイーツの神様「澤屋あわ餅」

 

和スイーツ界の頂点に位置するのが京都であることに異論はない。

 

いい店が多すぎる。

 

今回ご紹介するのは、北野天満宮前の「粟餅所 澤屋(あわもちどころ さわや)」。

 

創業は江戸時代前期の天和2年(1682年)だが、もっと以前から粟餅は北野名物だったようだ。

 

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ひょっとして和菓子好きの太閤秀吉が食べていたかもしれない。千利休も茶席に出していたかもしれない。

 

そんな空想を抱きたくなる逸品が、この超老舗の粟餅である。

 

三百数十年間、粟餅ひと筋。目立たない一軒家にいい暖簾が下がる。

 

引き戸を引いた途端、タイムスリップした気分になる。

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ご高齢の12代目と女将さん、そのご子息13代目が注文と同時に、木桶から見事な手さばきで粟餅を取り出し、こしあんで丸める。きな粉をかける。

 

店内で食べたのが「白梅」(こしあん3個、きな粉2本)。舌代は600円。お茶をサービスに付けてくれるのがうれしい。

 

今でも毎朝臼(うす)で搗きたて。

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柔らかな粟餅がこんなに美味いとは。驚くしかない。

 

れいなこしあんと粟餅の風味に癒される。

 

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夕方までしか持たないので、店に来て食べるのがベストの方法だと思う。

かような店は京都でも数少ない。

 

食べ終わった後、思わずかしわ手を打ちたくなる。

 

 所在地 京都・上京区北野天満宮

最寄駅 市営バス「北野天満宮」前

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はじめまして。「週刊あんこ」編集長です。

 

あ、忘れていました。はじめまして。

 

「週刊あんこ」の初代編集長・さとう祐介です(笑)。

 

簡単にこのブログ開設の動機とプロフィールを書きたいと思います。

 

子どものころから、甘いものが大好きで、とくにあんこ生菓子が好きでした。

 

仕事はコピーライターとその後は長い間メディアに所属しておりました。

 

その間もヒマを見つけては東西南北あちこちを飛び回り、豆大福やだんごをはじめ和スイーツを食べ歩いています。

 

その頂点、京都にもちょくちょく足を運んでいます。

 

悲しいことに、いい和菓子屋や和菓子職人が後継者不足で店を畳んだり、将来を憂えている現実に出会ってしまいました。特に地方の和菓子屋さん。

 

これはいかん。

 

こんなに素晴らしいあんこ文化が消えていいものか。

 

で、ほんの少しの力ですが、立ち上がることにしました。

 

今、和スイーツの新しい流れが起きているのも心強い。

 

あんこが世界をつなげる。ことだってある。

 

そう信じて、和スイーツの世界、あんこの可能性と未来を発信して行こう。

 

そう決意した次第です。

 

週に1回は(できれば2回)更新していく予定です。

 

あんこの好きな人とつながって行ければなあ。

 

確かに甘い決意かもしれません。塩加減がとてもむずかしい。

 

どうなりますやら。

 

何とぞよろしくお願い致します。

 

あんこより愛をこめて。

 

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       中将堂本舗のよもぎ餅(奈良・葛城市)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人形町「清寿軒」のどら焼き

 

東京・人形町の「清寿軒」のどら焼きを初めて食べたときのこと。

 

粒あんのあんこの量と皮の焦げかかったハチミツの匂い。

 

その手触り感に驚いた。

 

こんなどら焼きってあり?

 

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うさぎやの洗練とも違う。亀十の野暮とも違う。

 

あえて言うと、野暮の洗練ってとこかな。

 

じっくり炊いたつぶあんのあまりに素朴な美味さ。かなり甘い。皮のハチミツの焦げかかった香ばしさとふわふわ感がたまらない。

 

創業が江戸時代後期1861年(文久元年)。当主は今七代目。

 

一子相伝で受け継がれてきた手づくりのワザが食べた瞬間、口の中で爆発するかのよう。美味の爆発と言うのも心地よい。

 

あんこ好きには大判よりも小判(180円=税込み)がおすすめ。ご覧のとおり、つぶあんの量が想像を超えてる。すぐに売り切れになるので注意が必要。

 

ともかく恐るべきどら焼き、だと思う。

 

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所在地 東京都中央区日本橋堀留町1-6-1

最寄駅 地下鉄人形町駅下車

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